中古車店に行ってお目当ての車に出会った時、どの位値引きしてくれるのか予めわかっていたら、こんな有難いことは無いですよね。
今回はこの値引きについてです。このテーマについて実はあまり考えたことが無かったことに気付きました。ユーザーにとって一番興味があるだろうという事は容易に想像出来るのにです。わたしがあまりに業者側に意識が偏っているせいでしょうか、反省物です。
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中古車店の経営
値引きのお話の前に、まず中古車店の内情についてのお話からいきます。まず次の図を見て下さい。
粗利益合計 600万円
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固定費 500万円
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人件費 |
土地建物賃借料 | ||
通信交通費 | ||
水道光熱費 | ||
販売費 | ||
租税公課 | ||
その他 | ||
税引き前利益 100万円 |
お解かりいただけますか、あるお店の非常に簡単な損益表です。固定費は文字通り固定された経費です。租税公課などは厳密には変動費に当たるのですが、経営するものにとっては、頭の中でこの表を描いているものなのです。もし描いてないとすれば、その会社はどんぶり勘定で、ちょっと心配です。
そうでないと経営戦略が立てられないからです。下げられる固定費は無いのかとか、広告費を上げる事により、売り上げ台数を伸ばせないかとか。多くの戦略は、この表からうまれるのです。
まず経営者は、自分の会社の固定費を把握しておく必要があります。この固定費を粗利が超えなければ利益はマイナスとなり、それが続けば倒産となります。
いわばこの固定費を回収するために、必死に働いているという事でもあるのです。月終わりに近づいても固定費に粗利が追い付かないと、胃の痛む思いがします。逆に月半ばで超えた時は、みんなに昼飯でも奢ろうかという気持ちになるものです。あとは利益が出る一方なのですから。
このように固定費を超える粗利を稼ぐ事については神経質になります。ここで大事なのは売上ではなく、あくまで粗利なのです。
粗利は 売値-(仕入れ値+仕入れ経費+仕上げ経費)= 粗利 という計算で出します。もちろん粗利益合計の中には車だけでなく、それに付随するいろんな利益がありますが、それらは当てにするほどのものではなく、あくまで車販売がメインになります。
ところが仕入れについては、最近安く買うという事が出来難くなっています。かといって売値を高くすることも、お店同士の競争も激しく、そう簡単ではありません。いきおい値段の付け方には非常に神経を使います。
中古車店の対策
どの業界でもそうでしょうが、設定した値段は結構考えて付けたものでしょう。ただ同じ商品を他社と競争しなければならないというのは、かなりきついものがあります。そのため他と何とか差別化しようと車に特別なコーティングをするなど、いろいろ工夫したりもした販売店もありましたが、そうすると費用は商品に転嫁せざるを得なく、それをどのように評価するかは、ユーザー次第でいつの間にか聞かなくなったのは、評価されなかったのでしょう。
中古車は他の商品と違い、すこし特殊な様な気がします。結構高額商品でもありながら、仕入れ値も売値もほぼ決まっていて、その中で利益を出さなくてはなりません。
利益を上げる方法は限られます、店を大きくして販売数を増やすか、固定費をぎりぎりまで下げるかしかなく、どちらに進んでも安易な方法ではありません。たくさん売るために大きくすると固定費が増大し、そうすると社会情勢の変化に大きく影響受けやすくなり、いったんマイナス利益が出ると、雪だるま式に増えていきあっという間に倒産に至ります。
固定費を下げる方向に進むと、お店に活気が無くなります。破れたり変色した幟をそのままにしたり、禿げたペンキを直さなかったりと、高額商品を売るお店ではなくなり、売り上げは落ちていきます。結果それぞれが微妙なバランスを探りながら現状を保つことになります。
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中古車の値引きを聞かない訳
他の商品と違い薄利多売がきかない商品です、普通なら安くして沢山売ればいいような気がしますが、そうすると途端に補充する次の車に困ります。揃えるためには、どこよりも高く仕入れることになり、どんどん利益が減っていきます。たくさん仕入れると安くなるスーパーの商品とは決定的に違います、全く逆です。
たくさん販売する大きなお店も、小さなお店も値段があまり変わらないことに気が付いたことありませんか、大売り出しもありません。それはこの様な理由があるからです。
たくさん売る事が出来ないなら、一台当たりの利益を確保するしかなく、そのため値引きはなかなか出来ないのです。2万円の値引きを営業の裁量に任せるというお店もあって、売値に最初から乗せていましたが、ある時から止めたようです。やはり売り上げにあまり貢献しないようです。車価格からすると2万円はあまりインパクトを感じられなかったのかもしれません。それにこのような値引き額の決め方は、営業にとって緊張感がなくなりかってに値引きをおこなったり、サービス品を付けるなどしていたようです。営業の人間からすると堕落ですが、これはやはり仕組みに問題ありですね。
ここまで書いてきましたが、この記事はまとめると、値引きがなかなか出来ないことの言い訳記事です。やはり売り手目線ですよね。なんとか買い手目線で、出来なかった場合でもせめて第三者目線の立ち位置は守りたかったのですが。でも売り手の内情を外にさらすというのも、少しは役に立つのではないかと思っているのですが、どうでしょうか。
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