不人気車三菱ミラージュの隠れた実力。中古評価高くコスパに優れた車
若い方はミラージュと聞いてもピンと来られないかもしれませんが、私の様な古い人間にとっては、ミラージュと聞くと、人気絶頂だった頃を思い出します。当時なぜそれほど人気があるのかわからないまま、夢中で売りまくっていました。今でもよくわからないというのが、本音ですが、流行りとはそういうものでしょう。
それから長い間ミラージュの名前は三菱自動車のカタログから消えていましたが、2012年に復活しました。でも売れないのです。売れない理由は色々考えられるのですが、その話も添えて改めてミラージュという車について考えていきます。
スポンサーリンク
Contents
三菱自動車の分岐点
ミラージュの不幸は、「三菱で生まれ三菱で育った事」と言ってもいいくらいです。
想い出してもらいたい、2002年に起きた2件の死亡事故。一つは横浜市において、大型トレーラーの前輪ハブの破損によりタイヤが転がり落ち、歩道を歩いていた母子3人に直撃したことにより母親は死亡、小さなこども2人に怪我を負わせた事件。
もう一件は山口県において、インターを降りたトラックが料金所を突き破り、その先の一般道の地下道入口のコンクリート壁に激突したことにより、運転手が死亡したものです。後日判明した原因は、プロペラシャフトが脱落し、その際ブレーキパイプを破損させたことにより、制御不能に陥ったことが原因と判明しました。
これらの事故で許せない点は、前のハブの破損は事故以前から多発しており、その数57件にも及んでいたという事です。それでも、三菱自工側は一貫して、ユーザー側の整備不良によるものとして、リコールを届け出なかったのです。
プロペラシャフトの脱落事件に関しても悲惨で、死亡した男性は、当初道路交通法違反に問われ、送検されたことです。これでは遺族になんの補償もされず、殺され損です。もちろん補償されればそれで良し、とは言いませんが、あんまりです。特にこの事故現場は、私が高校時代、自転車でよく通っていて、とても思い入れのある場所なのです。
その後これらのリコール隠しが公になったのですが、ことはそれで終わりませんでした。その2年後、また別のリコール隠しが発覚したのです。
これにより、三菱の命運は尽きたかの様に見えたのですが。これだけの会社を潰すのは、社会的な影響が大きすぎると思ったのか、グループ会社の支援もあり、なんとか解散だけは免れたのですが、凋落は隠せるはずもなく、なかなか浮かび上がれるきっかけも無いまま、あの燃費データ改ざん事件です。後はあなたもご存知の通り、日産の子会社になり下がりました。
この会社は中に深刻な問題を抱えています。人の命を預かっているという自覚の薄い会社、と言われても仕方ありません。三菱グループという驕りが抜けないのでしょうか。
事件がミラージュに及ぼした影響
ミラージュの事を書くつもりで、三菱問題にページをかなり割いてしまいました。しかし、三菱の車を語る時には、どうしても避けて通れないのです。
ミラージュが三菱の車でなかったら、また日産から発売されたデイズのように、別の会社に育てられたら、全く別の結果が出たであろうことは容易に想像出来る事です。
他にもミラージュの生産についても、言いたいことは山ほどありますが、それはまたの機会にしたいと思います。
そういう意味では、ミラージュ自体に特に問題があるわけではないのです。むしろ三菱を削ぎ落してみれば、とっても面白い車なのです。
ミラージュを見ていこう
2012年に復活したミラージュは、2015年末マイナーチェンジを行い、2016年より1,000ccモデルを廃止して、1,200ccのみの2モデルとなっています。
ミラージュのサイズ
サイズ的には、コンパクトカーの中でも小さく、(全長)3,795×(全幅)1,665×(全高)1,505mmとなっています。これに近いのはトヨタパッソもしくは日産マーチでしょうか、全長がマーチより3㎝短く、全高は1㎝低くなっています。雰囲気的にはマーチのほうに近いといえますが、マーチと比べても洗練されている印象をもちます。特にサイドのラインはシャープです。
ミラージュのデザイン
ミラージュはマイナー前と後で雰囲気がずいぶんと変わりました。それまでお世辞にも洗練されたとは言いにくいエクステリア、インテリア共に向上しています。
エクステリアに関しては、パッソとは全く違います。丸みを帯びたレトロ感さえ漂わせるパッソに比べて、こちらはフロントグリルにメッキを増やし、洗練されたスマートな格好良さが全面に出ています。特別仕様のパッソモーダのようですね。
インテリアも、それまでプラスチック感満載だったのが、質感は格段に向上し、上位タグレードには本革巻ステアリングホイール等が標準装備されて、高級感さえ漂わせています。
ミラージュの動力性能
エンジンは1200ccですが、最大トルクが低回転域に設定されていて、マーチと比べても10kg軽い事も影響してか、発進時の加速も良く、キビキビ走るという感じです。街乗りの快適性はマーチより若干良いのではと思うのです。
燃費は、23.8㎞/Lと1,000ccのトヨタパッソの28.0㎞/Lと比べると見劣りしますが、マーチの23.0km/Lと比べても遜色ないので、むしろ燃費は良い方と言えます。
総合的にこの車を見た時、コンパクトカーを考えておられるのなら、絶対選択肢のなかに加えておくべき一台です。
ミラージュは中古がおすすめ
ミラージュは、このタイプの車としては一番コストパフォーマンスが良いかもしれません。
現行のモデルは2016年からですので、このタイプを例えば2017年に狙うとすれば、1年落ちとなります。それでも不人気のため、相場はかなり低めですが、三菱のディーラー店では実際相場よりかなり高めで、120万円を少し切るといったところです。
中古車を狙うのは数が少ないため大変でしょうが、中古車専門店であれば10万円は安く買えるはずです。ディーラーでも三菱以外は安いはずです。
中古車専門店にタマ数が少ないのは、三菱が積極的に集めて値崩れを防いでいるためであろうと想像できます。
わたしもディーラーの中古車部とはよく取引をさせて頂きました。でも全部集める事はできません、どこかに良いタマがあるはずですので、根気よく探されることです。
スポンサーリンク
最後に
今回やっと三菱の車について書く機会が訪れました。正直わたしは三菱が嫌いです。あの事件以来、個人的には一度も三菱の車を販売したり、仕入れたりした事はありませんでした。
“コンパクトカーは軽自動車の替わりになるのか”という記事の中にもミラージュを入れませんでした。あの事件以前はとても好きなメーカーだっただけに、ショックはとても大きかったのです。
かなりしつこいと思われるでしょうが、車を販売している物にとって、明らかに危険とわかっている物を販売する事は、絶対してはならない事です。人としてだけでなく、自分自身をも否定する事でもあります。
でも今回の記事をきっかけにして、区切りをつける意味でも、それを造り上げた人達に敬意を表する意味でも、車そのものに同じように敬意を持とうと思います。でも経営者には今も不信感がぬぐえません。
今回このような機会が持てたことに感謝します。またわたしと同じような思いをお持ちの方がおられましたら、ぜひ三菱の車に温かい目を注いでくださるようお願いいたします。
スポンサーリンク