今回は、中古車を選ばれる時に、気になる冠水車についての記事です。良いなと思った車が、何故か安いような気がする。もしかして?と疑いを持った時、どうやって冠水車かどうか見分けたらいいのか、そんな時のための記事です。
見分ける方法があったなら、どんなに心強いでしょう。また実際どの位の割合でその様な車が見つかるのでしょうか。そんな話も取り混ぜながら、進めていきます。
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Contents
中古車業界において冠水車の取り扱いは?
業界における、冠水車の取り扱いルールは、事故車と同じ扱いです。まずオークション等では、申告することが求められます。後で判明するとキャンセルとなったり、大幅な値引き交渉を余儀なくされたりすることになります。業者間取引においても、多くはキャンセルとなります。
しかし、実際にどこからを冠水車というのかといいますと、日本自動車査定協会(JAAI)による定義は、室内フロア以上に浸水した車または浸水の痕跡が確認される車となっていますが、オークションなどでは車体の1/3程度浸かったものを冠水車といったり、事故車の定義ほどは確立されていません。非常にあいまいです。
そのため、冠水車は、中古車業者にとっては事故車以上に扱いにくい車となります。大丈夫だと思って買い取った車が、オークションにおいて冠水車と判断されたり、また逆の結果になったりと、相場が読めなくなります。
損を避けるためには、全く手を出さないか、疑わしきは罰する、つまり査定金額を十分下げる。この二通りの方法があります。どちらも買取りに積極的な行動ではなく、出来たらやめておきたいというのが本音です。ですから流通量としては、かなり少ないといえます。事故車の方がはるかに多いといえます。
そうはいっても、毎年一定の冠水車は出てくるわけですが、流通するのはその中でもさほど問題にならない物ばかりで、フロア内に浸水したが、コンピューターの交換のみで済んだものがほとんどです。
なぜならそれ以上の浸水を許したものは、中古車店にとってあまりにリスクが大きすぎるためです。まず商品にするのに、修理に幾らかかるか読めないばかりでなく、きれいにするだけでも相当時間を費やさなければならず、オークションに出せば間違いなく冠水車と判断されるでしょうし、黙って通ったとしても、落札後にクレームがつく可能性も高く、それ以後の取引にも影響が出かねません。もちろんユーザー販売しても、いつばれるか気が気でなく、ちゃんと説明して売れば安くするしかなく、利益が努力に合いません。リスク高すぎです。
必然的に、車としては問題なく、黙って売ってもまずばれないと思われるようなものが流れて行くことになります。いや黙っていてはダメなんですよ、でもそういう誘惑に負けるお店もあるという事です。
そこで自衛策として、賢いユーザーになるために、見分けかたを身につけましょう。
冠水車の見分け方
まず初めに
まず車は冠水するとどうなるのか、を考えるところから始めます。
冠水すると次の状況が生まれます。
- エンジンがかからない(機械的問題)
- 電気系統のトラブル
- 泥等による汚れ
- 湿気に起因するカビ臭
- 錆びなどによる各部品の劣化
まず①のエンジンと②の電気系統のトラブルは、店頭に出される時には修理されていて、すでに解決されているので、ここは③④⑤の痕跡探しがメインになります。
まずあまりひどく水に浸かったものは無いでしょうから、痕跡を見つけるには細心の注意が必要です。どんな痕跡も見落とさないぞという意気込みで取り掛かりましょう。水位はここまで、と判断できれば合格です。実際、プロも少しでも疑いのある痕跡を見つけたなら、本気モードになります。そうしないとなかなか見つける事が難しいのです。売る方も必死ですから。
実践
外からでは、冠水車を判別できません。ドアを開けるところから始めましょう。開けた後しゃがんで室内の臭いをかぐところから始めます。泥臭さとか、カビ臭とかに注意して下さい。車により多少匂うものがありますから、絶対的な物ではありませんが、判別のきっかけにはなります。
次に見るとこは、フロアです。冠水した水は殆ど泥で汚れています、水は蒸発しても泥は残っています。シートレールの間から、またはアクセルペダルの奥辺りからフロアを覆っているフェルト様のマットの隙間を広げて覗き込みましょう。通常の泥と違います、細かい粉状になっていますので、初めてでもすぐわかるはずです。
痕跡の泥が無いからといってまだ安心しないでください、通常は隅っこに埃や砂粒があるのが普通です。それらが一切なく異常に奇麗であるなら、相当年式が新しい物でない限りありえません。そこまできれいにした理由は何か、そこまで推理しましょう。
次に運転席足元奥のヒューズボックスです。ふたを開けて中に泥汚れがないか、ふたの裏も見て下さい。錆びつくはずのないヒューズが錆びついていれば、かなり疑いは濃くなります。
下から懐中電灯を照らして、表から見えない裏の部分を見て下さい。錆の状態だけでなく、水位を示す水平ラインを見落とさないでください。もし冠水していれば、必ず異常があり、見つける事が出来るでしょう。
ここまでで異常を発見出来れば、その後はその判断を補足することに注意を傾けます。トランクを見れば、スペアタイヤスペースだけでなく、簡単にはずせるカバーがあればすべて外して、懐中電灯で奥を覗き込みましょう。同じように、泥汚れや錆の痕跡探しです。
痕跡探しのコツ
痕跡探しのコツは、ここまでは掃除しないだろうと思われるところを、チェックすることです。また隠そうと掃除すればするほど、今度は掃除の痕跡が顕著になります。その痕跡も見つけましょう。そうすれば掃除をしたところと、しなかったところの境目が見つかります。
意外と盲点になるのが、シートベルトです。どうしても、見えるところに掃除の関心が向かいますので、シートベルトも見えるところは綺麗にするのですが、全部引き出してみると途中から明らかに泥汚れによるものとみられる痕跡が見つかったりします。掃除の見落としですね、そういうものを見つける事が大事なのです。
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最後に
どうでしたか、“ 冠水車の見分け方 ” 特別な物なんて、な~にもないでしょう。肝心なのは、見る時に、冠水していることを前提にして見る事です。見つけるというより、証拠探しをしているという意識です。結果証拠がなければ、思い違いでシロだったという事です。
ただ確率的には、そういう車に出会う事はまずないでしょうが、対処の仕方を知っているのと知らないのとでは、車選びにおいて大きく差が出ます。不安を抱えたまま車を選ばれると、何時までも気になり、運転していても安心する事が出来ません。選ばれる時には、一度試してみられたらいかがでしょうか。
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