トヨタ初代MR2 AW型の中古車の選び方と注意点。レストア向けか
- 2018/2/28
- スポーツカー
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ミッドシップレイアウトのスポーツカーと言えば、あなたはなにを思い浮かべますか?
多くの人はスーパーカーの名門ブランドである、フェラーリやランボルギーニの歴代の名車を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。どちらもミッドシップレイアウトのスーパーカーの代表格とも言えるブランドです。
一方で、NSXを思い浮かべた人もそこそこいるかもしれません。日本初のスーパーカーと呼べるミッドシップレイアウトのスポーツカーはホンダから誕生しました。
どれも一般人には手の届かない高級車たちが名を連ねていますね。エンジンをボディの中心付近に搭載することで、圧倒的な運動性能を実現するミッドシップレイアウトは、構造上実用性と整備性が悪いため、趣味性の高い一部のスーパーカーにしか採用されていませんでした。
しかし、1984年。NSXが誕生するよりもずっと前。ついに量産型のミッドシップスポーツカーが日本で誕生することになります。
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日本初の量産ミッドシップスポーツ
トヨタ・MR2。1984年に、日本ではじめてミッドシップレイアウトを採用した量産スポーツカーです。
ミッドシップというのはエンジンの位置が車体中央にあり、後輪が駆動輪となる方式のことを指します。ミッドシップはMRと略されることが多く、更に細かく分けるとフロントミッドシップやリアミッドシップなどがあります。
それまでミッドシップという方式の車は市場に殆ど無く、乗用車ではGMのフィエロがあったぐらいです。GMの開発を小耳に挟んだトヨタが、社内にあったFFレイアウトを最大限に生かし、FF横置きミッドシップという異例のお手頃スポーツカーを作ったものと言われています。
そんな中、石橋を叩いて叩いて叩きすぎて橋を壊す程のトヨタが大冒険した車が、このMR2です(笑)。
この頃のトヨタは少し前に出したソアラをキッカケに、とてもチャレンジングになっていました。このMR2も、モーターショーのコンセプトモデルでは一際目立っていて未来的だったのに、なんとほぼそのままのエクステリアで市販化され、回りの度肝を抜きました。小ぶりで直線をメインに構成されたデザインは、今見ても斬新でとてもスタイリッシュですね。
そんなMR2ですが、ミッドシップならではの高いパフォーマンスと、軽量コンパクトなボディが特徴で、多くのスポーツカーユーザーから人気を博しました。
それまでミッドシップレイアウトの車は高級スーパーカーの代名詞的存在。庶民の手に届くことはないモノでしたが、MR2の登場によってそれは一気に覆されることになります。
導入部が長くなってしまいましたが、日本初の量産ミッドシップスポーツカー、MR2のアレコレをお話しします。今回は記念すべき初代MR2であるAW10/11型をピックアップしていますが、第2弾、第3弾も用意しているのでお楽しみに。
AW10/11型は安くて楽しいおもちゃ
photo by Colin
MR2の魅力はなんといっても2シータースポーツカーであるということ。当時、車の保有期間も長くなり、人々が安定のファーストカーの次に購買意欲を示したのが、飛び抜けた個性を持つセカンドカーでした。
トヨタはそんな市場需要を完璧に把握し、すぐに魅力たっぷりの車作りを開始、その結果、普段使いには適さない高性能ミッドシップ+荷物載らない2シーターという図式が誕生しました。ただしメイン市場はアメリカ。実際生産されたMR2のおよそ8割が、アメリカに輸出されました。つまり日本ではこの車はアメリカほど受け入れられなかったのです。
しかし発売から2年後に行われたマイナーチェンジによって、スーパーチャージャーが追加され、それまで設定されていたムーンルーフが廃止され、遊び心たっぷりなTバールーフが加わりました。その他にも外装内装細かな変更はありましたが、過給器とオープンエアを手に入れたMR2は魅力を増し、人気者となるのでした。
シェードを外した状態のMR2はかなり開放的で、快晴の中走るのは最高に気持ちが良いし、夜の星空を見上げながら走るのもまた格別のフィールを味わうことができます。外したシェードは専用の袋に入れて座席後方にしまう必要がありますが、これはホンダのS660に似た、楽しめる不便さといえるものです。この作業自体が、オーナーをワクワクさせます。
そんな、数々のスポーツカー乗りを虜にした、記念すべき初代ミッドシップスポーツカーであるAW10/11型。初代モデルと言うこともあって根強いファンが多いですが、既に生産終了から30年以上経過し、もはや旧車ポジションの貫禄を感じることができますね。
角ばったエクステリアが、漢らしさを感じる名車です。当時としては先進的でスマートなデザインを採用していますが、今見るとおもちゃのスーパーカーのような、愛嬌のある外観のようにも感じます。
AWとハチロクは兄弟
AW10/11型にはミッドシップレイアウトのスポーツカーながら安価でないといけない、という使命がありました。そこで、車の基本となる足回りやエンジン、トランスミッションなど、多くの部品を大衆車である80系カローラから流用。高い運動性能を実現しながらも、車両価格を抑えることに成功しています。
極端な話ですが、歴代カローラで初めてFF化された80カローラを前後逆転し、ミッドシップレイアウトに魔改造した車がMR2といえるでしょう。
搭載するエンジンは1.5L直列4気筒エンジン(NA)と、1.6L直列4気筒エンジン(スーパーチャージャー)の2種類。MR2として印象が強いのは、スーパーチャージャーを装着した1.6L直列4気筒エンジンですかね。年式でエンジン形式と最高出力は異なりますが、120~145馬力ほどのパワーを発生させます。
1.6Lエンジンの方は通称4A-GEエンジンと呼ばれ、あのハチロクを含む80系カローラセダンやカローラFXのものとほとんど同じものです。もっとも、AW11のものはハチロクのものよりも強力な動力性能を誇りました。
これを軽量コンパクトなボディの中心に搭載することで、じゃじゃ馬と呼ばれるほど扱いにくい(ただし、乗りこなせればめちゃくちゃ速い)車となっています。
ちなみに、NAエンジンと搭載したAWがAW10型、スーパーチャージャーを装着したAWがAW11型です。初代MR2のすべてをひっくるめてAW11型と思っていた人も多いかと思います。それほど、初代MR2は過給機の印象が強いのでしょうね。
中古車を選び方と注意点
最も新しい年式のAW10/11型でも、生産から既に30年以上が経過。状態の良い車両を探すのはなかなか骨が折れるかもしれません。旧車価値のあるAW10/11型を愛するオーナーが、安く中古車市場に出回っていた車両を部品取り車として購入していることで、中古車市場に流通する台数は年々減少しています。
そのため、中古価格も値上がり傾向にあります。カーセンサーやグーネットなどの中古車検索サービスに出品されているAW10/11型は約40台。重複している車両もあるので、実際に出回っている車両はもっと少なくなるでしょう。
中古価格は25~259万円と非常にバラつきがあります。価格の安い車両は修復歴ありで過走行のため、部品取りとして活用されることになると思います。
これからAW10/11型に乗りたいのであれば、最低でも120~150万円は用意したいところ。それだけあれば、メンテナンスや修理代はもちろんかかりますが、楽しいミッドシップライフを送ることができるのではないでしょうか。
AW11のレストア事情
本気でAW10/11型のオーナーになりたいのであれば、レストアを行う前提で中古車を購入してみるのも良いかもしれません。理想は状態の良いAW10/11型を購入し、フルレストアすることです。ですが、フルレストアができるほど金銭的に余裕があるなら、すでに行動に移しているはず。
状態の良いAW10/11型の中古車を購入してセミレストアするだけでも、あの頃の最高にカッコよかったAW10/11型が現代に蘇ります。1970年代以前の車両をレストアしてガンガン乗り回している人だっているにはいるんですから、1980年代後半に生まれたAW10/11型の維持に、そこまで臆病になる必要はないのかもしれません。
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最後に
外車も含めると、ミッドシップレイアウトを採用した車は多くありますが、国産車となるとその数は限定されます。安価にミッドシップスポーツを楽しむことができるMR2は、当時としては非常に革新的なスポーツカーでした。
現在では、メーカーも車格も異なりますが、ホンダ・S660がそのポジションに位置すると言っても良いでしょう。どんな形であれ、安価にミッドシップを楽しめるのは良いことです。
ただ、ミッドシップスポーツの過激さを本格的に味わうとなれば、やはりMR2が候補に挙がると思います。そのときは外装の状態ばかりに気を取られて車選びに失敗することのないように、エンジンルームの確認や試乗を行い、間違いのない中古車選びを行ってくださいね。
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