【最終更新日】2018/02/22

交通事故で、修理しないで保険会社から修理代相当を現金で貰えるのだろうか

「修理しないで修理代をもらうことはできますか?」

長い事車屋をやっていると、こういう相談を受ける事がたまにあります。理由としては、もう乗り換えようと思っていたとか、大した破損ではないので修理せずそのまま乗りたいとか、たまに大破した車を見てしまい、もう乗りたくないとか、様々ありますが、要は修理して乗るより、現金を貰った方が得になると思った時にこういう相談をされます。

でもそんな事出来るのでしょうか。先に結論を言いますと「出来ない訳ではありません」。しかしそこには、ちょっと複雑な駆け引きが生じます。そんな駆け引きが今回の話の中心になります。


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当事者、保険会社、修理屋、それぞれの思惑

それぞれの思惑? なんのこっちゃ!と思われた方、正常な反応です。こんなこと言ってる私の方が異常かもしれませんが、わたしはこの問題だけでなく、人と人が出会って何かをするor何か起こる時は必ずそれぞれの思惑があると思っています。それを感じ取って行動することが、勝ち負けの問題だけではなく(もちろんそれも大事ですが)、なによりその結果にある程度納得できるようになると思っています。

これは交渉だけではなく、同じ目標に向かっている仲間内においても同じことが言えます。きれいな言葉で言えば相手を思いやるという事でしょうか。そういう風に言えば支持を得られるかもしれませんが、思惑を感じ取るということと中身は同じです。

ちなみに思惑があるから話し合いが出来るのであり、一番質の悪いのは思惑の無いまっすぐな意志です。これに出会った時は一目散に逃げるほうが得策です。狂信的な人やストーカーなどがこういう部類になります。それに比べれば保険会社との交渉など楽なもんです。

 

テーマにもどります。ここでの登場人物は自分を含めて、保険会社、修理工場の3者です。それぞれの思惑は “なるべく得をしたい” の一点で共通しています。

こちらとしては修理代いっぱいまで、出来たら当然もらえるはずの代車代金まで欲しいというとこでしょうか。保険会社としては出来るだけ損害金の支払いを抑えたい(減額したい)。修理屋さんは、同じ修理でもなるべく工賃の稼げる修理方法を選びたい。この3者が絡み合います。

保険会社との実際の交渉

それでは実際の交渉を、2パターンに分けてご説明していきます。

車の修理をする通常の交渉

事故に遭った車が修理屋さんに運ばれてきてから交渉のゴングが鳴ります。軽微な修理であれば、修理工場が写真と見積書を一緒に保険会社に送って済ますことがほとんどですが、そうでなければ保険会社よりアジャスターと呼ばれる担当者がやってきて、写真を撮って帰っていきます。

アジャスターは、車両損傷部の事故との関係調査とその損害額を確認するだけでなく、事故の原因についての調査も行い過失割合を認定する事も行います。このアジャスターとの交渉がこれから始まります。

まず「修理工場とアジャスターとの攻防」があります。保険会社には車修理ソフトというものがあり、そこに修理箇所を入力すれば、その工賃などの修理金額が即座に示されます。これを基に見積書の概算を出してきます。この見積書が、保険会社が妥当な損害額と考える基になります。

 

一方修理屋さんは、そう保険会社の良い様には納得しません。なんとか修理代UPを狙います。

「バンパーのキズは塗装修理となっているが、変形しているので、それでは元のようにはならない。そちらの見積書には出ていないが、本体側のバンパー取り付けステイも変形しており、そちらの板金修理と合わせてバンパーは新しく取り替える必要がある。またフェンダーの板金塗装の金額が安すぎる、この車の場合フェンダーのデザインが複雑で一般の工賃では行えない」

など、さまざまな交渉を行います。

そうやって最終的に折り合いをつけて、損害額を確定していきます。ですから交渉のうまい修理工場とそうでない所は、利益にかなり差が出る事もあります。

 

実際は、ここの交渉に中古車屋さんが入ることが多々あります。なぜなら車を買った時同時にその中古車屋さんで保険に入ることが多く、ユーザーも事故を起こされた時には、中古車屋さんに連絡されます。信頼されている中古車店ならなおさらです。修理工場を手配する事も中古車店が行います。ですから修理工場はユーザーからの依頼ではなく、中古車店からの依頼として仕事を行います。

わたしの所に来た交渉については、わたしは保険会社の概算見積には一顧だにしません。そんなもの見たことない体で話を進めます。あまりに言ってくると、「そこまで言うなら、そちらの修理工場でそちらの納得のいく修理をされたらいかがか、その結果についてユーザーが納得すれば良し、そうでなければその結果についてはすべてそちらの責任となるが、どうだ。」と、なかば脅して進めていきます。

そうやってこちらの有利なように、代車の請求もしていきます。ただなんでもかんでもこちらの要求を通しているわけではありません。交渉最後の段階では、要求を引き下げます。最初は半ば強引に押し通し、最後は引く。ただこれは、わたしの交渉の仕方です。その方がぐずぐずせずに、すんなり解決に向かいます。

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修理せずに損害額だけを貰う時の交渉

この場合、修理屋さんは交渉のテーブルにつきません。だって修理しないのですから。そうなると損害額はアジャスターの損害見積りだけとなります。

交渉の仕方としては修理屋さんに見積り書を書いてもらい、それを基に交渉するという手もありますが、素人の方でその内容を理解される方はおられないでしょうし、またそれをどの様に活用すればいいのかなんてわかるはずもなく。

修理屋さんにとっては、仕事にならない車を持って来られて見積書までタダで出すなんて出来るはずもなく。まあ普通では、保険会社のペースでそのまま押し切られることになります。

 

保険会社は、一応修理もしないのに損害金を支払うのは道理に反するというニュアンスをちりばめてきますが、前項にも書いた通り、保険会社は損害金の支払いを安くしたいというのが本音です。

具体的には自分たちが得だと思う金額で示談する事が出来れば、あとそのお金で修理しようが、キャバクラに行こうが知ったこっちゃありません。示談が出来ればいいのです。

 

ここでも、中古車屋さんを介すると状況は少々変わってきます。実際に修理せずに損害額相当を支払う事がわかったあとの保険会社の概算見積り書を見ると、笑ってしまうほど安いのです。意図的にやっているという確証はありませんが、まあそんなもんです。しかしこちらもそれに対しては色々対策を立てます。それは事故の状況、車の状態など様々の要因を加味して交渉を組み立てていきます。

この交渉はあまり公にすることは出来ませんが、一応こちらもがんばって、少しでも保険金がアップするように全力で臨みます。お金にはなりませんが、自分の所のお客であれば自然とそんな気持ちになってしまいます。それでもやはり通常の損害金より少なくなるのはしかたがありません。

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最近少し状況が変わってきた?

このように、修理をせず損害金を受け取ることは可能ですが、減額なしの十分な金額を受け取ることは難しいといえます。個人で行う時はなおさら困難です。

そういう意味では、どこで保険に入るかという事も大事です。中古車店で入ると、こういう時には色々相談に乗ってくれる可能性があります。可能性というあいまいな言い方をしたのは、中古車店も再編の波にもまれて、保険会社と交渉できるほどの人材も少なくなってきているように思われるのです。特に新規参入の大手などの営業では無理でしょう。

それ以上に変わってきたのが保険会社です。自由化により、ダイレクト保険と呼ばれる保険会社が多く出てきました。これらの特徴は第一に保険料の安さを挙げていますが、そのからくりとして人件費の削減が挙げられます。そのためどこの業界でも同じですが、合理化という波がこの業界にも覆いかぶさっているようです。

 

自動車保険について中古車業界の人達と話す機会がありましたが、どの方も感じているのが、最近保険会社のアジャスターも、どこかの店員のようにマニュアル化してきたというものです。

交渉についても自分たちの規則を言うだけで、まったく交渉に応じようとしないばかりか、時にかなり失礼だと思われる言葉も発するようになってきたとのことです。本人たちもそれは十分わかっているようだが、そう答えるしかないように感じる。ということです。

最初に書いた通り、相手に思惑があるので交渉が出来るのですが、相手がマニュアルを守る事しか頭にない場合、プログラムされた機械を相手にしているのと同じで交渉不能です。

合理化とはマニュアル化のことと言い換えられるのかもしれませんが、これからはそういう現状とどうやって折り合いをつけていくのかが悩むところだと、その方たちは言っていましたが、私なんかは、そんな悩みから遠くなってしまったことを、正直ほっとした気持ちで聞いていました。





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