先日LEADERSⅡを見ました。
そこで感じたことは「トヨタのクルマにかける信念」と、「戦前から変わらないクルマの使命」でした。
日本に住むクルマ好きとして、トヨタの存在は最も大きなものです。それは規模、販売台数、売上、認知度、技術、関連系列会社、従業員等さまざまな要素がありますが、その最たるものはビジョンです。
なぜトヨタのクルマはつまらないのか?なぜ他社のコンセプトの真似が多いのか?なぜハイブリッドカーに固執するのか?これらの他にも沢山のツッコミどころがあるトヨタですが、一見短所に見えるこれらの特徴も、トヨタの根底にあるビジョンを紐解くと全て一貫した行動原理に基づいたものだということに気付かされます。
今回はそんなトヨタのクルマ作りについてのコラムです。
Contents
LEADERSⅡあらすじ
「一般人にも乗用車を!」
このドラマは戦前に生まれたトヨタが、戦争や人々の偏見などを乗り越え、どのようにして発展してきたのかということを題材にしたドキュメンタリードラマです。
ドラマには鮎川財閥(日産自動車)やいすゞなども登場しました。国産メーカー、海外メーカー、職人、販売店、ユーザー、国などの思惑が複雑に交差し、そこに戦争の混乱が加わりながらも激動の時代を熱く生きた自動車野郎たちの生き様がダイナミックに描かれていました。
作品内ではトヨタという名前は使われず、アイチ自動車工業という社名で話が進んでいきます。1934年、日本のクルマ市場はGMやフォードなどのアメリカ車軍勢が圧倒的な力を持っていました。この時代、日本が国産のクルマを作って販売することなど、誰も想像することすらできなかったのです。
そんな中、アイチ自動車の代表として愛知佐一郎(佐藤浩市)が国産初の乗用車を生み出すべく一人奮闘していました。その後数々の出会いを経て、様々な同士達の協力を得ながらアイチ自動車は実力をつけていきました。佐一郎の目標だった国産車販売100万台という目標が達成されたのは、佐一郎の没後でした。
トヨタ自動車の強いビジョンを感じた
私は常々面白いクルマを!と訴えているわけですが、そもそもクルマには忘れてはならない重大なテーマがあります。それは「より速く、より安全に、より省エネで、人を運ぶこと」です。これはどんな時代でも不変のものです。
この中でも特にトヨタが強く想ってやってきたのは「安全」ではないでしょうか。当時の日本の技術では、各パーツの強度が足りなくて破損してしまう毎日でした。これでは安全に人を運ぶことなどできません。でもトヨタは決して諦めず、元々日本にあった日本刀製造のノウハウを活かし、クルマの安全性を高めていったのです。
さらに日本は資源のない国です。より省エネでクルマを走らせるということは、使用するガソリンを減らすことに他なりません。戦争は既存エネルギーの奪い合いで勃発しますから、人類にとってそれほどまでにエネルギーの確保は死活問題となっており、日本にとってクルマの燃費問題というものはコアとなる命題です。そのためトヨタとしてはどうしても燃費の良いクルマを作る必要があったのです。
まだ貧しかった日本の人々が、安全で省エネで力強い乗用車に乗れるようになる未来がきっとくる。我々でその夢を実現させるのだ!というトヨタの願いの先に、今一人のクルマ好きとして生かされているのだなと思いました。
これからのクルマに乗る者として
私はLEADERSⅡを見てトヨタを見直しました。戦前戦中戦後の日本をクルマというものづくりで底の底から支え続けてきたトヨタというメーカーの底力、信念を見た気がしました。もちろんテレビドラマですから、念入りなマーケティングに基づく宣伝の一つだということを念頭に置いて見たほうが良いとは思いますが、トヨタの目指している先は何十年も先の未来といって良いのかもしれません。
ハイブリッド車一つとってみても現時点では世話の掛かる高コスト商品ですが、トヨタのビジョンからすると決して視線がズレているものではありませんし、ブレてもいません。それは、お客さんと共に次世代プロダクトを育てていく、そのためには徹底的にユーザーサポートをする。こんな姿勢がトヨタにはあるようです。
始めに作ったG1トラックも、最初はたったの6人にしか販売しませんでした。それは自社のクルマを徹底的に見直すために、お客さんの元で起きたあらゆるトラブルを完璧に消化し改善させるという目的のためでした。その最大数が6だったというわけです。全てはお客さんのために。それが現在のトヨタ系ディーラーサービスを始めとする安心のトヨタという信用に繋がったのだと思います。
だからこそ、ハイブリッド車のカタログ数字を飾るための燃費チューンなどもユーザー第一で行ってもらいたいと思います。このドラマのように、決して国やお役人のためではない、嘘まやかしのないトヨタ創業時の信念に基づいた車作りを続けていただきたいなと思います。
ユーザーにとって、安全は第一です。そしてメーカーとって、信用は第一です。では、車にとって第一とは?それは、「クルマが好きだ」という車野郎達の思い、つまり信念ではないでしょうか。
信念が製品に宿り、人を振り向かせ、新しい時代を作っていくのだと思います。だから車がすきだというあなた、あなたも立派なLEADERSですよ。
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