車はどこまで水没したら全損で廃車扱いになるのかをエンジンルーム洗浄から考える
- 2018/1/8
- 車コラムと豆知識
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もし愛車が水没してしまったら…。
車オーナーにとって考えたくもないアクシデントですが、ニュース映像などで洪水災害などによって冠水車扱いになった車は再起可能なのか…それが今回のテーマです。
今回は水没した車の状態について、エンジンルーム洗浄と絡めて考えていきます。エンジンルーム洗浄?と疑問をもたれた方もおられるでしょうが、読み進めて頂けるとなるほどと納得して頂けるのではと思っております。
まずは「エンジンルーム洗浄の目的は?そもそもエンジンルームを洗浄しても平気なのか?」ここから考えていきましょう。
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Contents
エンジンルーム洗浄の目的
中古車専門店で中古車を探された方はよくご存知でしょうが、エンジンルームが綺麗に洗浄されているのを見たことがおありでしょう。
あの洗浄、実は賛否があるのをご存知でしょうか。専門家の間でも意見は分かれていて、ディーラー店などでは、あまり行われていません。
エンジンルームを洗浄する目的は何か、何が良いのか、これは誰に聞いても明確な答えは返ってきませんでしたが、私なりに出した結論は、こういう事ではないかと思っています。それは“ 見た目が良い ”この一点だと。
事故の痕跡を見やすくするためだとか、整備しやすくする為だとかいろいろ言われますが、それらはすべて後付けの理由で、たいした効果もなく、事故の痕跡に至ってはむしろ汚れていた方が、修理跡とのコントラストがはっきりして見分けやすいはずです。
昔の車は、ガスケットの品質が悪く、ヘッドガスケット部分からのオイル滲みがとても多かったので、その跡を隠す目的も大きかったと思われます。
今となってはさほど意味のないエンジンルーム洗浄、今でも専門店などで行われています。
実際のエンジンルームの洗浄の仕方
エンジンルームを洗浄する方法は、お店によって色々あるようですが、基本は、洗剤スプレーを掛けてその後高圧スチームで洗い流すというものです。場所によって何種類かのブラシを使い分け、細かな所まで汚れ落としをおこないます。
お店の違いは、水に触れさせたくないものにはビニールを掛けるとか、洗剤の種類がお店により異なっているという程度で、基本的には同じものです。
とにかくエンジンルーム内は水浸しの状態です。
エンジンルーム洗浄の問題点
見た目を良くしようとして、エンジンルームを洗浄するのは良いのですが、問題点はエンジンルームを水浸しにする事による、電装部品への影響です。
現場をご覧になった方は少ないと思いますが、単純にエンジンにバケツで水を掛けるなんてものではなく、強力な洗剤をぶっかけて、熱と水圧で汚れを削り取るといった印象です。
ただやはり心配なのか、車屋は自分達の車には絶対同じことはしません。自分の車にしないことを売り物にしてもいいのかというお叱りはもっともな事だと思いますし、心苦しいのですが、実際どの程度のダメージがあるのか今もってわからないのです。
確かに重要だと思われるセンサー類、エアフロメーターなどには水がかぶらないようにビニールを被せたりするのですが、たまに忘れたり、水圧で外れて飛んで行ってしまう事もあり、それでも別に何ともなく動いてくれます。
それに作業の後はエアガンで電装系のコネクター部分の水分を重点的に飛ばしたり、エンジンを1時間はかけっぱなしにしたりして、エンジンルーム内の水分を乾かしますが、それがどこまで効果あるのかどうかも正直わかりません。やらないよりはいいだろうと思っての事です。
更にわからないのは、昔はオルタネーターという発電機の故障がとても多かったのですが、それはこの作業が原因ではないかと疑っていたのです。しかしある時を境にこの故障がまったくなくなりました。加えてコンピュータ制御の時代になっても、同じことをしているのに、コンピュータの故障が増えたということもありません。
これらのことから、エンジンルームを洗浄しても全く問題ないのではないかと思われます。もうすこし突っ込んで言うと、エンジンルーム内は意外と水に強いのではないかということです。
一通りエンジンルーム洗浄についての実際を理解して頂いたうえで、いよいよ本題に入りましょう。それは「車はエンジンルームに水をぶっかけても平気だが、水没車は実際どーなの?」という点ですね。
水没車の問題点
問題点としてよくいわれるのが、汚水やドロにより車内に悪臭、車の至る所がサビてしまう、エンジン等の重要な機関部分の故障、などがあげられますが、これらは本当でしょうか。
悪臭に関しても、浸かった水がどういうものだったかにによっても違いますし、錆と言っても本当に錆びるのかわかりません。私は冠水によると思われる錆を目にしたことが一度もありません。だって、洗浄のためとはいえあれほどエンジンルームを水浸しにして、なんともないのですよ。ちょっと浸かったくらいでダメになるのか、ダメと断定することには本当は大いに疑問があるのです。機関部分の故障については、問題があればそもそも動きません。
ただこれはきついなと思われるものは、確かにあります。それはエンジンが水没するほどの水位に浸かってしまった場合です。このケースですと、まずコンピュータ本体の問題があります。これはさすがに絶望的です。一見水が浸入するところが見当たりませんが、コネクター部分は危なさそうです。
あとマフラーです、マフラー内に水が入ったからと言ってもうだめだとは思えませんが、エンジンが浸かるとマフラーから、エンジン燃焼室まで水が入っている可能性だけでなく、水位が高いと、空気取り入れ口を通ってインテークパイプからスロットルボディーまで浸水していると思って間違いないでしょう。
逆に言えば、この2点が大丈夫ならたいしたことないといえるのではと、正直思っています。エンジンルーム内など、ちゃんと洗って乾かせば大丈夫だと。
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もし愛車が水に浸かってしまったら?
私の車がもし水に浸かって、水位がエンジンの水没する高さでなかったなら、まずコンピュータを外したうえでエンジンルーム内を徹底して高圧洗浄します。
特にコネクター部分に泥汚れが付いているとショートの原因になるのでそこを重点的におこない、あとよく乾かしたうえで中古でもいいからコンピュータを交換して、動かしてみます。動けば良しとして、それからあとは室内の徹底掃除をすれば良いだけになります。ダメなら修理屋さん行きになるそれだけです。
今回は車の耐水性ついてお話しましたが、最後にいいたいことは「水没車は条件付きだが乗っても大丈夫なのでは?」ということです。
原因の特定が難しい電装系が関わってくるので明確なことはいえませんが、ちゃんと動いているのなら、車屋としての経験上そんなに水没車に対して敏感にならなくてもよいと思っています。
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