2017年2月にマツダのCX-5がモデルチェンジし新型CX-5になりました。
前回までマツダを変えた魂動デザインやスカイアクティブの生まれた背景をお伝えしてきましたが、やはり魂動デザインといったらこの車、CX-5を取り上げない訳にはいきません。
2012年にマツダの願いを乗せて、渾身の一撃として市場に放たれた初代CX-5。当初の年間売上目標である16万台を大幅に超え、2015年には37万台と売れに売れたCX-5。誕生したその時からずっと魂動デザインを率いるシンボルとしてマツダブランドを牽引してきました。
今回は新型となったCX-5の初代との違いを、主に魂動デザインの面から見ていきたいと思います。
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流行は捨てた。目指したのは自らの美意識
元々CX-5という車は、SUVとしてのワイルドさやユーティリティーの高さに加え、上質な気品あふれる風格を持たせることを目指して生まれました。そしてその主張はファンの心を掴み、マツダ快進撃の牽引役として市場をリードするまでになりました。
新型CX-5は主に先代を深化させる方向性で開発されました。というのも先代で築き上げられたブランドイメージを軽々しく刷新するのではなく長所を伸ばしてより深みを増し、先代の優れたエクステリアデザインを磨き込んでいくことふさわしいと判断されました。
確かにCX-5は魂動デザインファミリーの中でも長男坊というイメージがある上、カジュアル路線ではCX-3があるために、大人の風格を持っている必要があったのですね。
新型CX-5に設定された新色「ソウルレッドクリスタルメタリック」が引き立たせるのは、CX-5のより美しくエレガントになったボディーの面造形です。どちらかというとシャープで活発な雰囲気を持つ先代のキャラクターライン・サイドシルエットに対し、新型では新色のレッドが際立つような光の反射のしかたをする複雑で表情豊かなリフレクションが採用されています。
こうしてよりグラマラスで力強いデザインを手に入れた新型CX-5。見ていると溜息をつくような美しさだといえます。新型CX-5ではここまでのデザインを完成させるまでに、マツダではデザイナーチームに加えて熟練の匠モデラーである通称「トップガン」と呼ばれる精鋭達がエクステリアデザインに加わり、数々のクレイモック作成を経てようやく極みがかったプロトモデルが生み出されたのです。もうそのレベルまで達した頃のCX-5は、もはや一車種という枠を超えた車として本当に美しい物体にまで昇華していました。
初代と2代目はどちらが魅力的か
新型CX-5がデビューしたことで、今は初代CX-5を中古で購入することができます。どちらを購入するか迷ってしまいますね。それでは簡単に比較してみましょう。
まずボディーサイズですが、新型も初代もほぼ変わらず全長が4545mm、全幅1840mm、ホイールベース2700mmです。唯一全高だけは新型が1690mmでおよそ15mm下がりました。つまり外寸はほとんど同じといえます。
内装も細かい仕様変更はあるものの、あまり大きな変化はないようです。さらにエンジンをはじめとする動力性能もあまり変わっていません。
大きく変化したのは足回りです。新型CX-5ではサスの剛性を高め、路面追従性が向上し操作性がより的確になりました。さらにGベクタリングコントロールと呼ばれる車の挙動を安定させる電子制御によって悪路での直進安定性が向上しています。また、クリーンディーゼルのエンジン音なども新型では抑えれており、より快適性が増しています。
私が二代目で最も感心した点は「燃費」です。初代CX-5のJC08モード燃費は18.4km/Lだったのに対し、新型CX-5では18.0km/Lです。これは一見すると新型となって燃費が悪化しているように感じますが、実はその逆で実用燃費は向上しているのです。日本では燃費のカタログ上の数字が大事で補助金を受給できるかどうかの分水嶺になるため、メーカーとしては燃費の数字をお化粧したがります。なぜなら目先の数字だけを追いかけるユーザーが非常に多いからです。
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しかし新型CX-5は本当に大切なところに視点を置き、物事の本質が分かるユーザーにのみ理解してもらうという考え方です。これはつねに目の前の売上が欲しい国内車メーカーとしてはリスクの伴う判断です。でもこれをやってのけたマツダからは、「我々は分かってくれるユーザーにのみクルマを販売していく」という強い意志が伝わっています。
総評すると新旧どちらのCX-5も魅力的なため、ユーザーの感性で選ぶことが最良の選択だといえます。人の感性というものは、その人の普段見えない部分、つまり潜在意識の領域が大きく関わっているため、たとえその選択が一般的に見て非合理的な上に理屈で説明できない部分が多いものだとしても、本人にとっては本質的に理解して合理的に判断している場合が多いからです。
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CX-5考察
新型CX-5は力強く洗練された高級感をテーマに開発されたクルマです。特に新型では細部に磨きがかかって完成度が高まっています。そしてそのモノ作りの姿勢が一部のファンの心を掴んで離さないというわけです。
こうした車作りを行えるメーカーは本当に貴重だと思います。CX-5だけに限らずどのクルマも人によって好き嫌いの好みが分かれます。だからいろんなクルマが存在することがマーケットとして一番望ましい状態ですが、マツダのような思想・哲学でクルマと向き合う姿勢は、将来のユーザーのことを本気で考え抜かれた本物のクルマを生み出す率が上がるのではないでしょうか。
クルマとしての美しさというもろに抽象的で説明し辛いようなことを煮詰め続け、お役人向けの偏差値の数字などを無視した本当に意味のある装備やトータルでの環境性能、そしてユーザーにとっての優れた経済性を発揮できるクルマを追求し続けるマツダ。私は、ジャパンプレミアムとなったこのメーカーの挑戦を引き続き静かに見ていきたいと思います。
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