中古車査定のクラス分け 特C・特B・特A・Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・軽 が産んだもの
- 2017/8/28
- 車買取の基礎知識
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特C・特B・特A・Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・軽 これは中古車査定のクラス分けについての物ですが、このクラス分けは、JAAI(日本自動車査定協会)が中古車を査定する時に、便宜的に分けたものです。
一応、高級車と呼ばれるセンチュリー・プレジデントを特Cとして、順番に分けていき、最後に軽となります。つまり排気量の大きい順、価格の高い順、高級車から大衆車までをクラス分けしたものとなっています。
問題はこのクラス分けは、いったいなんだということです。何のため分けたのだろうという疑問が当然湧いてきます。そこから進めていきます。
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目的は査定基準を作る為
先に、このクラス分けの正体を申し上げれば、中古自動車の査定基準作りのため、まず第一歩として作られたものです。これが無ければ、先に進めません。分けたうえでそれぞれのランクに応じた査定基準を作っていくのです。
中古自動車の査定基準を作るにあたり、車ごとに基本価格を作成します。そしてそこから走行距離が○○㎞ならばプラス、若しくはマイナスと加減していきます。その加減がクラスによって違います。
同じ走行距離でもクラウンと軽自動車では加減が変わってきます。キズにおいても、クラウンと軽自動車では修理金額が違います。そのため車をクラス分けする必要があるのです。
査定基準は2つある
査定基準は2つあります。まず1つは一台一台の中古車の査定基準なるものです。年式・タイプごとに、走行は1年1万㎞標準、色は白という車を標準として査定基準値を決めます。決め方は、各地オークションの落札価格のデーター情報を参考にします。
ただし、この基準は相場の変化に応じて頻繁に変化します。
もう一つの査定基準は、先の一台一台の基準値をもとに、走行距離の多少により加減点を加えて評価します。走行距離だけでなく、車体の色によっても、オプション品の有無によっても加減点が変わります。謂わばクラスに応じた加減基準値というものです。
この2つをもとに、実際の査定をしていく事になります。これがあれば、経験のない人でも一応の査定をする事が可能になります。大手の買取り専門店はこれを使います。そうでなければ経験の浅い社員を仕入れ部門に送り込む事が出来ません。
中小の中古車店はあまり利用しない
通常、中小の中古車店は、このクラス分けした査定表を利用しません。なぜなら仕入れの担当者は、それなりに経験を積んでいて、見なくても当然知っていることしか書いてないという事もありますし、大手と違い限られた範囲の車しか取り扱わない為です。
軽自動車・4駆などの専門店だけでなくても、高級車から軽自動車までを同じように展示してあるお店は、そうはありません。そのため全ての車の査定値を頭に入れておく必要はないのです。
まあだからと言って、扱わない車の査定が出来ない訳ではありません。下取りの場合幅広い車種を知っておく必要があります。
ただどうしても得意な車種とそうでない車種が出てきます。そういう時に仕入れのネットワークが役に立ちます。他の仕入れに聞けばいいのです。もちろん自社だけでなく他社の仕入れにも聞くことがあります。むしろそちらのほうが役に立つうえ信頼性があります。
そのため各仕入れがどの分野に強いのか知っておく必要があります。そういうネットワークを濃密に構築しておくのも仕入れ担当の仕事のひとつでもあります。
仕事柄、仕入れ担当者は他社との垣根が低く、情報交換を頻繁に行います。そうしなければ自分が直接行けなかったオークションの情報なども手に入れる事が出来なくなります。相場の動きなどそこから手に入れることも多いのです。そのため人によりますが、この業界の事も俯瞰で見ることも出来るようになったりします。
昔陸軍より海軍の方が世界情勢に詳しく現実的に見る事が出来ていたと聞いたことがありますが、より広い視野で物事を捉えることはとても大事な事です。
こんな感じで、ペーパーに書き起こされた資料情報より生の情報の方を、大事にします。
大手買取り店は利用せざるを得ない
大手買取り店は、このクラス分けした査定基準を利用せざるを得ないのです。仕入れ担当を一人育てるには期間にして2年は必要です。それでもまだ仲間内から一人前として認められるかは疑問です。その仕入れを買取り店を増やしていく度に同じように仕入れ担当を増やせる訳もなく。この査定基準があれば1~2ヶ月の研修を終えた後なんとか査定が出来ることになります。
これがあれば、必要なだけ買取り店を増やすことが可能になり、経営戦略的に絶対必要なツールになります。仕入れ管理もどれだけ会社が大きくなっても可能ですし、車種も、最大限幅広くとる事が出来ます。その効果は絶大で、大手でありながら、下は保証なしの低価格車から上は外国車まで、それぞれの専門店を作ることも出来るようになります。
いままで専門店しか行ってこなかった輸出に関する業務も、専門の部署も作る事が出来るようになり、海外に支社を作っているところすらあります。今後は解体業務をはじめとするリサイクル業にも事業を展開していくと思われます。
この査定基準が出来た時、これによって産まれる可能性をどれだけの人が想像したでしょう。可能性に気付いたものが今のこの状況を作っているのです。古いものは現状維持にこだわります。そうやって衰退していくか、狭いところを見つけて存続していく事になります。あとは寄りかかるしか生きる道はなくなります、
この査定基準が出来たことの負の部分
今までこの査定基準の正の部分を述べてきましたが、もちろん物事には裏もあります。変化においてどちらかが正しいなどという事はありません。新しい時代において、どちらがより良いかの選択があるのみです。現状維持が一番最悪です。
しかしながら、変化によって起きる負の部分に目を背けないで頂きたいものです。
この査定基準の負の部分というより、これを採用した時に生じる負の部分が問題です。査定はすべてこの査定基準をもとに行われるという事は、謂わばこれがバイブルとなり、頼りっきりになります。自分の力ではないのに、たった数ヶ月で一人前になったように勘違いさせてします。
一番の問題は、まったくの閉鎖社会になることです。それまでの仕入れ業務は開放的でした、そうでないと業務が成り立たないのですが、このシステムを採用するという事は、他者とのコミュニケーションの幅を狭めます。そういう閉鎖社会がどうなるかは、あなたも記憶に残っていらっしゃるでしょうが、独善的になりその社会でしか通用しない常識や考え方が産まれます。
その為でしょうか、お店や査定員によって対応が違うという事がままあるようです。残念です。
なんとか、対策を取られるよう望みます。クレーム対策室に丸投げしていると、一向に解決されないだけでなく、問題が固定化されかねません。