雪道を車で走る場合、その車の駆動方式が走りに与える影響、つまり車の動きに密接に関わっています。
今回はスポーツ走行と言えばこれ!と言える人気の駆動方式である、FRで雪道を走った場合の特徴を、私自身の経験から検証していきたいと思います。
雪道が苦手といわれるFRの意外な実力を知ることになるかも知れませんよ。
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Contents
雪道を走るのにFR車は安全なのか?危険なのか?
結論から。
FR車は雪道に弱いです。
FR車とは前にエンジンがあって後輪を回して進む自動車ですね。なぜ弱いのかは後述します。
雪道に弱いFR車ですが、良い面もあります。それは後輪が前に進む力を路面に伝える仕組みのため、ハンドリング(操作性)が軽快で思い通りに車を動かすことができるという点です。
前輪がグリップの限界を迎えコントロール不能に陥ることも比較的少なく、運転上級者などは巧みに車を操ることができます。
また、FF車が苦手な雪道などの低ミュー路(ツルツルの路面)上の坂道などでも重力の関係からしっかりとトラクション(車を前に進ませようとする力)を効かせやすく、グリップして坂を登り切ることができます。まぁ、お尻フリフリですが・・・。
昔、仲間のスターレット(FF車)が雪道の上り坂で前輪が空転してしまい、それを見てもうひとりの仲間が冷やかしながら、S13シルビア(FR車)で上り坂を登っていったのをよく覚えています。そのあと全員でスターレットのお尻を押し、根性の人力作戦で無事登りきりました。そして先程冷やかしていたS13の持ち主は、その先の下りコーナーで見事に雪山に刺さりました(笑)。油断大敵ですね(^^)
みんなの投票
ここでいつものみんなの投票です。
FRでの雪道走行はみんなそれぞれ思い思いですね!
FR車での雪道運転は滑りやすいので本当に慎重に!
運転初心者にとって、FR車は全駆動方式のなかでもずば抜けて雪道に弱く危険です。
雪道などでは、車は十分にエンジンパワーを路面に伝えることができずに、駆動輪がすぐに空転します。FR車はその構造上、後輪がトラクションを失い空転します。後輪が空転するということは横滑りを始めるということになります。つまりスピンです。これは車として最悪の状況です。対向車線に飛び出したり、道から落ちたりする危険性があります。
雪道などで一度スピンし始めるともうどうにも止まりません。カウンターステアを切っても間に合わないとっちらかり様です。後は神のみぞ知るです・・・。
カウンターステアとは?
カウンターステアとは、曲がる方向とは逆にハンドルを切ってスピンしかけた車の体制を立て直すドラテクのひとつです。
え?分からないって?仕方ないですなぁ。私の拙い図解で勘弁してください。カウンターステアはこういう感じです。
上の図では右コーナーに対し、普通は右にハンドルを切るところですが、逆の左にハンドルを切っていますよね。これはテール(リアタイヤ)がグリップを失い慣性の力によってコーナーの外側に引っ張られてしまうのを、ハンドル操作で意図的に抑え込んでいる最中の図です。
FR車では雪道走行でしょっちゅうこうなります。だから楽しいのですが、同時に危ないです(笑)。
これで少しは伝わりましたでしょうか?図を作成するの大変なんですよね…。(^_^;)
カウンターステアといえばドリフトなんかが代表格ですよね。ああ、FR車でカニ走りに燃えたあの頃が懐かしいなぁ…。ドリフトは普通路で行うものですが、雪道では普通路よりも思い切りテールが滑り出しますので、ドリフトの練習には良いかも知れません。
解説しといてなんですが、やっぱりカウンターステアなんて知らない人の方が圧倒的大多数なので、やっぱり雪道においてFR車は全くお薦めできません
こちらの動画でカウンタステアというものを疑似体験できます。楽しい人は楽しいですが、知らない人にとっては恐怖だと思います。
雪道でのFR車の特性と対策、扱い方
とにかく運転が楽しいFR車ですが、普通路で普通に運転していて他の駆動方式との違いを感じるには、よほどの運転技術と経験が無いと無理です。しかし雪道では車の挙動がすぐに限界地点までいってしまうので、FF車やFR車の本来の特性が出やすい環境といえます。FR車であれば、無理な運転をするとすぐにお尻をふりだします(笑)。
私などこれが楽しくて、学生時代、雪降ったらFR車でそこらの広い駐車場などに友人達と出向いてカニ走りしてました(笑)。
要はFR車の悪い部分(楽しい部分?)が出やすいのが雪道での運転というわけです。
後輪駆動で安定走行を生み出す方法
普通のFR車は、FFなどと比べて前輪だけに無理をさせない分、走る(加速)の面で効率が良いのですが、前にエンジンがあるためフロントヘビーであることが多いです。FR車でフロントが重いということはバランスが悪く、リアの荷重抜け(エンジンが前にあるため後輪への重さの負荷が抜けやすい状態)が起こりやすいともいえます。
バランスの悪いFR車で後輪の荷重抜けにより雪道走行がが不安なときは、後ろに人を乗せたりトランクに重い荷物を乗せたりすると多少は安定します。当然限界越えてスピンするといよいよどうしようもなくなりますのでお気をつけ下さい。
前後重量配分が良好なBMWなどの車種は安定する
ただ、曲がる、止まるに関しては前後重量バランスの良いFR車は成績が良いと言えます。特に前後重量バランス(前輪と後輪に掛かる車重の割合)が50:50に近いFR車(BMWやマツダ・ロードスターなどが代表格)は運動性能が高いです。※ついでに車体が軽いことも重要。
なぜなら、上でもご説明しましたが、もともとFR車はエンジンからの出力を後輪に任せることで、加速やパーシャルコーナリング(アクセル開度を一定に保った状態でのコーナリング)といった各仕事に対し、FF車などよりも前輪に余裕を持たせることができる駆動方式なのですが、前後重量バランスが高いとこれらの仕事割り振りが完璧に近くなるからです。
さらに減速時においても、前後重量バランスが良いと制動力を4輪に比較的均等に割り振ることができるので、効率が上がります。
注意点として、「前後重量配分が50:50のFR車はエンジンの力が4輪に伝わるため雪道でも安定する」という解説をしているサイトも拝見したりしますが、それは誤りですからお気をつけ下さい。間違った著者によるまちがった情報は事故に繋がります。
正確には、「前後重量配分が50:50のFR車は、フロントヘビーなどバランスの悪いFR車と比較して、発進時にエンジンの力が伝わる後輪にトラクションがしっかり掛かりやすい上、加速しながらのコーナリングやブレーキングしながらのコーナリング、限界ブレーキングといった不安定なシーンでも、各タイヤに理想的な配分で仕事を割り振ることができるため、雪道でも安定する」です。車の駆動方式と力学を理解していれば当然分かる話です。
FR車は決してエンジンパワーを4輪に伝えることはできません。それが出来るのは4WD車と、一部のスポーツカー、GT-RのアテーサやインプレッサのACT-4などだけです(笑)。
それと、LSD(左右の駆動輪の回転差を無くす装置)が入っていないFR車では、雪道ではより簡単にスタックしてしまうのでお気をつけ下さい。
LSDなしのFRでスタックしてしまったときは、緊急対処法として軽くサイドブレーキを引きながらクラッチを繋げるとスタックから脱出できる場合があります。お試し下さい。
タクシーだってFR!
まぁ、FRだからといって雪道を必要以上に怖がる必要はありません。
全国の多くのタクシーに採用されているトヨタ・クラウンコンフォートだってFRですし、知り合いのタクシーの運ちゃんも「FRの方が雪道で扱いやすいんだよ!FFじゃあダメだね!あっはっは!!」といっています。凄く楽しい親父です(笑)。
実際、大雪の日の都内でもFRタクシーは普通にモリモリ走っていますし、私の祖父が住んでいた東北地方のタクシー運転手は、みんなFR車での雪道運転に慣れっこです。
下の表は別記事で書いたFFとFRの雪道特性比較表ですが、このように一般的に雪道でFR車よりも扱いやすいといわれている前輪駆動のFF車だって、決して雪道が得意な訳ではないのです。
雪道に対する強さ | FF | FR |
発進 | △ | △ |
コーナー | ☓ | △ |
停止 | △ | △ |
上り坂 | ☓ | △ |
操作性(運転初心者) | △ | ☓☓☓ |
操作性(運転上級者) | ☓ | △ |
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FR車の雪道対策1
FF版でもお話しましたが、やっぱりスタッドレスタイヤを4本ともに履いているのが雪道を車で安全に走る最高の条件です。
特にFR車+ノーマルタイヤの組み合わせはまるでスケートリンクのように車がいうことを聞きませんよ。
FR車の雪道対策2
全ての操作をゆっくりにしましょう。急発進、急ハンドル、急ブレーキはご法度です。カメになった気分で運転すれば大丈夫です。
いくらABSが付いているからって油断してはいけません。ABSは限界時のハンドルコントロール性を失わないようにするためのもので、雪道に強くなっているわけではないのです。
アクセルをじわじわっと踏む。ハンドルをちょびちょびっと少しずつ切る。ブレーキをビビりながら少しずつ踏む。これらを忘れないで下さい。
FR車の雪道対策1
雪道運転のコツとして、特に車のコントロールを失いやすい下り坂では、なるべくフットブレーキを使わずに済むよう、エンジンブレーキを多用しましょう。そうするとFR車は運転しやすくなります。
なぜならFR車はリアタイヤが駆動輪だからです。リアタイヤがエンジンに繋がっているので、エンジンブレーキもリアに掛かります。つまりリアに減速の仕事の大部分を任せることで、残りの余力をフロントタイヤの方向舵に割り振ることが出来るというわけです。
エンジンブレーキを使う注意点として、1速のエンジンブレーキを使うとあまりにも減速比が高すぎるので、場合によってはサイドブレーキを引いたのと同じような状態になり、スピン状態に陥ります。
このサイドブレーキによるスピン状態を利用して、私はサイドドリフトと呼ばれる最も簡単な暴走運転をよくやってました。FFでも可能です。スキーのボーゲンみたいなもんです。もう昔の話です(笑)。
下り坂に差し掛かったら、ミッションを一段ずつ下げて減速を確認しながら慎重に操作していきましょう。MTではなくATのDモードだったら4速→3速→2速(4速が無い車もあります)とシフトレバーを操作していきましょう。
普段は完全Dモード・オートマチック運転で「一体この1速や2速はなんの為にあるのだろう?」なんて首を傾げているドライバーの方、こういう時のためにあるのですよ(笑)。
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最後に…
いかがでしたか。
FR車による雪道の運転は、慣れていないとかなり危険だということが伝わりましたでしょうか。
スタッドレスタイヤを履かずに夏タイヤで雪道運転するドライバーは完全に馬鹿野郎ですが、スタッドレスを履いているからって運転を疎かにしてはいけませんよ。
雪降るシーズンはイベントも多く、意外と車にのる機会も増えます。安全第一、時間に余裕を持って運転しましょう。
追記1 FFとFR、雪道での動きを徹底比較してみました。
雪道はFFか、それともFRか?どちらが優れているのかを調べる
追記2 雪道特集記事を追加しました。
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