かつて一斉を風靡した日産・スカイラインGT-R。そして今回ご紹介する通称R32型と呼ばれるR32GT-Rは今のスカイライン伝説を不動のものにしたエポックメイキングカーです。
「GT-R」は日本のクルマ好きなら知らないものはいないと言われるほど知名度が高く、車の存在自体にヒストリーがある、日本車としては非常にドラマティックな車と言えるでしょう。
今回から数回に分けてこの魅力たっぷりの日産・スカイラインGT-R列伝を語っていきたいと思います。
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Contents
【スカイラインGT‐R伝説】
日産スカイラインGT‐Rは初代GT-Rであるハコスカ時代から元々人気のある車でしたが、人気が本格化したのはこのR32型からです。登場から20年以上経つというのに未だに人気が衰えないのは、スカイラインGT‐Rには他の車には真似できない3つの魅力があるからです。
伝説の理由①全ては勝つためだけに生まれたサラブレッドだった
1989年、時はバブル経済真っ只中という時代にR32スカイラインGT-Rは生まれました。
前モデルであるケンメリGT-R(KPGC110)より数えて16年ぶりに復活を遂げたGT-Rは、ある使命を帯びてこの世に誕生しました。それは・・・
「レースで勝つこと」です。
当時の日産は大きな企業指標として「901活動」と呼ばれる車体運動性能の底上げ運動を行っていました。その集大成といえる車がこのR32スカイラインGT-Rでした。
当時日本で行われていた全日本ツーリングカー選手権のグループAに参戦したスカイラインGT‐Rは全てのレースでポールポジション(予選1位)を奪いそのまま優勝、次のシーズンではさらに参加台数を増やし、デビューウィンから全日本ツーリングカー選手権が終わるまでずっと勝ち続け、無敗の29連勝という華々しい成績を上げ伝説となりました。
スカイラインGT‐Rは市販車ベースのハコ車(いわゆる普通の乗用車)でありながら勝つべくしてこの世に生まれ、当然のように勝利をもぎ取っていった、まるでサラブレッドのような車だったのです。
伝説の理由②ハイスペック…それ以上の言葉はいらない
ここで日産の取った行動のぶっ飛んでいるところは、「何としてでもレースで勝つ。勝てなければGT‐Rとは言えない」とし、グループAレースで勝つためだけに設計したエンジンの存在がありました。
日産は当時の全日本ツーリングカー選手権グループAのレギュレーション上限いっぱいの直6ツインターボ2.6リッターエンジンを専用設計し、そのスペシャルエンジンをついに具現化したのです。
このツインターボエンジンはRB26DETT型と呼ばれ、軽量化のためにエンジンブロックはアルミを採用するなど、あまりの完成度そしてポテンシャルの高さゆえR34GT‐Rまで末永く使われることになるのでした。
エンジンの他にGT-Rの特徴としてアテーサET-Sと呼ばれる優れたトラクションコントロールシステムの存在があります。
アテーサET-Sとは、通常は運動性能の高いFR駆動でありながら、後輪のグリップ力が限界に達すると同時に前輪にもトルク配分を行い、一時的に4WDの優れたトラクション性能をも併せ持つ次世代システムでした。
路面コンディションや、タイヤグリップに合わせて駆動する多板クラッチにより、変幻自在にトラクションをコントロールするアテーサET-Sは、のちにスカイラインGT‐Rの代名詞となっていきます。
さらにスカイラインGT‐Rはスーパーハイキャスと呼ばれるシステムを搭載しました。これは後輪までステアさせることで重量級のGT-Rの運動性能を飛躍的に高める機構です。
このようにR32GT-Rは圧倒的に強力なエンジン、魔法のトラクションシステムに加え、数々のとんでもない機構が組み合わさった、正に日産の底力、技術の結晶のようなハイスペックマシンでした。
レースでは鬼の速さを見せ、当時の人々に「GT-Rに勝つにはGT-Rでないと無理だ」と言わしめたほどの物凄い性能だったのです。それほどR32GT-Rの速さは異次元のものでした。
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伝説の理由③デザインも圧倒的な支持を集めたR32GT-R
R32型スカイラインGT‐Rはその性能だけでなくスタイリッシュな外観も大いに注目され、今ではファンの間で神格化されるまでになりました。
R32GT-Rの外観的な特徴といえば前後にダイナミックに張りだしたブリスターフェンダーの存在が大きいでしょう。
市販状態で16インチというアルミ鍛造ホイールが装着され、幅の広いタイヤを履くために左右に大幅に拡大されたフェンダーは、スカイラインGT‐Rの力強い走りを連想するのに一役買っています。
大型のグリルや、ケンメリから始まった丸目2灯リアランプもスカイラインGT‐Rのアイデンティティーですね。実は丸目2灯はスカイラインGT‐Rがオリジナルではないのですが、今ではもうスカイラインGT‐Rのものとなっています。
R32はまるで細マッチョのような筋肉質なボディー外観を持ち、見るものを釘付けにし、それまでに残してきたレースでの成績が多くを語らない説得材料となって、私たちにスカイライン哲学ともいえる生き様を背中で魅せるオーラを纏っていました。
スーパーカーではないところがGT-Rの真の魅力
このように数々の魅力を持つR32スカイラインGT‐Rですが、この車が最初からスーパーカーのような出で立ちで現れていたら、恐らくここまでの名車とはならなかったでしょう。
なぜならスカイラインGT‐Rはベースが普通のセダンであるスカイラインだったからこそ凄い!となったのです。「俺も無理すればこんな凄い車が買えるかもしれない…」GT-Rは一般庶民でもそんな希望を持てる現実的なスポーツカーでした。
R32GT-Rは、パッと見は普通のセダンが少しスポーティーになった車なのかな?と思いきや、いざ走りだすと鬼の速さ、もう誰にも止められない領域まで走り抜けていく「羊の皮を被った狼」みたいな車でした。
あのポルシェよりも早いと言われながらもベースは普通乗用車というギャップが皆惚れる理由となりました。
日本人はあまり主張の強いものを好みません、しかし求道的なものに憧れる資質があり、無言で勝ち続けたスカイラインGT‐Rに男の美学を見たのです。そう、余裕で勝ち続けるGT-Rの背中がかっこ良かったのですね。だからこの車にまつわる歴史は未だに伝説的ストーリーとして語り継がれています。
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R32の凄いところ投票
最後にみんなの投票です。
それぞれが想うR32の魅力は、どれもがこの車の人気を支えている大切な要素の一つです。
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R32GT-Rについて最後に
このあと間もなく日産のプロダクトは迷走を開始しR33GT-Rが登場するのですが、私も一人の日産党として、いつかまた日産からびっくりするような車が登場してクルマファンの心を鷲掴みにして新たな日産党が増えることを心待ちにしています。
スカイラインGTRのR33はなぜ失敗作と言われるの?3つの理由
私もGT-Rに惚れた一人です。車という無機質な鉄の塊でありながら、スカイラインGT-Rはクルマ好きの胸を熱くさせる物語を持っています。こんなに色んな車種と比較される車も無いんじゃないでしょうか?
私は昔グランツーリスモというプレイステーションゲームの一番難しい市販車最強レースでR32GT-Rで勝つということにこだわり、2徹したバカです。笑
最近では輸入が解禁されたアメリカでR32の中古車が静かなブームを起こして価格が急騰していたり、私の知り合いもR32GT-Rをパクられるという悲劇があったりと、未だに注目度高しのやっぱりサラブレッドな車が日産R32スカイラインGT-Rなのでした。
R32GT-Rの中古車情報を見てみる goo-net(グーネット)
今ではR32GT-Rよりも魅力的な車は沢山あります。しかしこの車は私にとってやっぱり特別で、時代遅れだとかマニアっぽいだとかそんな野次を全部吹き飛ばすほど好きです。
多くの日産党はこのGT-Rがいたからこそ日産好きになったといっても過言ではありません。未だに日産ブランドが色褪せないのは、紛れもなくGT-Rの残した功績のおかげなのです。
これからも末永く応援していきたい車です。
【特集】日産スカイラインGT-Rの軌跡。日本車のイメージを変え世界でゴジラと呼ばれた車
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2017年 2月 23日
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