あなたの車が高く売れない上にトラブルになる理由。車買取業界の抱える深刻な問題点とは

「車買取店の営業が、いつ売ってくれるんだ?と高圧的だった…」
「今日即決できないのなら明日は10万以上変わってくると迫られた…」
車買取では、たびたびこのようなトラブルが発生します。
この車一括査定の問題について、実は一度 電話・メール対策について書かせて頂いたのですが、その後もう少し調べていくと、これは考えていたより深刻な問題が含まれていて、当事者が感じ取っているかどうか判りませんが、このまま進んでいくと、いずれ、いっきに車一括査定システムの崩壊に進む可能性を含んだ問題であると思うようになりました。
このシステムに絡んだトラブルも増加しており、今のうちに何とか対策を取らないと、いつか世の中がこの事に関心を向けた時には、業界全体に激震が走る可能性もあると思われます。
その理由をこれから述べようと思いますが、すこし退屈な文になるやもしれません。なるべくそうならないように、気を付けるつもりですが、もしそうなったときは少し我慢していただけると助かります。
それからこのシステムを利用しようと思っておられる方は、利用の仕方にとっては非常に便利なシステムですので、ぜひ参考にして頂いて、うまくご利用されることを願っています。
Contents
問題の深刻さは思ったより深い
まずこの問題を客観的に見るために、国民生活センターと全国の消費生活センターの相談件数をみますと、2010年以降の中古車全般の相談件数は、7.700件程度と横ばいを続けています。むしろ最近は、微減すらしています。
ところがです、こと中古車売却に関する相談については、2010年度には突然前年比1.7倍の増加が見られるのです。これについてはデーターの取り方に問題があるのではと疑っていますが、さらに翌年2011年度にはその1.6倍超と急増しているのです。
それ以降はなぜか資料が見つかりませんでした。しかしこの年だけ増加したとは考えられず、その前から徐々に増えていって、この年から急激に増加をし始めたと考えるのが、自然です。もちろんそれ以降も増え続けていると想像されます。
このまま増え続けるといずれコップの縁から水がこぼれるように、それどころかダムの縁を超えることに繋がりかねないと思っています。
大袈裟に聞こえるかもしれませんが、国民生活センターに記載されている相談内容を見ていきますと、今までにはなかった相談が多々みられます。
問題はここ、今までなかった相談というところです。今までなかったという事は、何かかが起きているという事です。この大本になっている原因をどうとらえるかで、この現象の評価は分かれるということですが、あなたはどう思われますか。
これから先は、勝手ながら私の独断と偏見に満ちた分析と、解決には程遠いかもしれない提案をさせて頂きます。まず分析から…
車業界の変化の流れから見た現状認識とこれから
“風が吹けば桶屋が儲かる”のように、世の中一見関係ないように見えることが深く関係していることがあります。それをこれから読んでいただきますが、少し長くなりますので、3つに分けていきます。
1.新車登録台数の変遷から見える中古車市場
平成元年 | 2年 | 3年 | 4年 | 5年 | 6年 | 7年 |
7,450,867 | 7,803,062 | 7,428,939 | 6,881,296 | 6,390,016 | 6,698,410 | 6,897,704 |
8年 | 9年 | 10年 | 11年 | 12年 | 13年 | 14年 |
7,291,598 | 6,280,166 | 5,874,169 | 5,889,358 | 5,980,302 | 5,824,774 | 5,868,212 |
15年 | 16年 | 17年 | 18年 | 19年 | 20年 | 21年 |
5,890,546 | 5,820,722 | 5,861,545 | 5,618,545 | 5,319,620 | 4,700,779 | 4,880,264 |
22年 | 23年 | 24年 | 25年 | 26年 | 27年 | 28年 |
4,601,135 | 4,753,273 | 5,210,292 | 5,692,162 | 5,297,110 | 4,937,734 | 5,077,904 |
( 自販連データーより )
まず上の表を見て頂きたいのですが、これは平成元年~平成28年までの新車登録台数の変遷を表しています。
ただこの表には商用車などが含まれていますので、個々の台数には目を向ける必要はありません、ただ流れを見て頂きたいのです。
ここからはその流れの見方を説明と一緒に、示していきます。気楽にみてくださいね。
いきますよ、まず日本の新車登録台数は、昭和の時代から一貫して右肩上がりに伸びてきました。もちろんオイルショックなど一時的に落ち込むこともありましたが、流れとしては伸びてきました。
この流れが変わる時が来たのは、あなたもご存知の通り1991年(平成3年)バブル崩壊です。この2年前まだ自分で仕事を初めたばかりの私は、ものすごく嫌な予感がして、ことあるごとに周りに、もうこの仕事も長くないかもしれない、自分にはツキがないと口癖のように言っていました。耳を傾ける人は誰もいませんでしたが。
働いていた者の実感として、いくら人気があると言っても、いくら新車納期が遅いと言っても、新車より高い中古車がでてくるのは、おかしいです。新車で買った車を中古車として売って利益が上がるなんて、どうかしています。
昔本で読んだ17世紀オランダのチューリップ事件(興味のある方は一度調べてみてください)と同じだと思っていました。もっともそれを読んだ当時には、これを経済問題ではなく人の愚かさの一例だと捉えていましたが。
とにかく、バブルは弾けました。一時780万台を超えた新車登録台数が、平成4年度には100万台ダウンの680万台に、更に翌年には640万台と下がっていき、それ以降も一時底を打ったと思われたのも束の間、再び下がり始め、エコカー補助金、エコカー減税と矢継ぎ早の政策も、ご覧のように、新車台数を押し上げるという効果には程遠く、現状を何とか維持するのが精一杯で、政策が一段落したあと、再び下がり始め平成22年度には460万台にまで落ち込み、現在500万台ラインで浮き沈みしている状態です。
このことから、バブル前に比べて現在新車登録は30%以上ダウンしていることがわかります。それもこれから良くなっていくような材料は見当たりません。
阪神淡路大震災も大きな影響を及ぼしました。平成7年に発生したこの災害の為一時的に新車登録台数が翌年増えています、実は中古車登録も増えているのです。被災された方にはほんとうに申し訳ない言い方ですが、これにより車が売れたということです。
しかしこの一時的需要が、後々自分たちの首をさらに絞める結果となって帰ってきます。その後平成23年に起こった東北大震災にも同じ事が起きました。
お解かりですか、その解は次に詳しく述べるつもりですが、実は下取り車がほとんど発生しない需要だったのです。
2.新車登録台数の縮小が中古車業界に及ぼす影響
この新車販売の縮小により一番影響を受けたのが中古車業界です。メーカーは国内市場に見切りをつけて海外に活路を見いだし、世界を市場としてむしろ飛躍していったのですが、中古車業界は世界に飛び出ていった者は、ほんの一部で、ほとんどはノウハウも能力もなく、只々嵐の中の小舟のように何処に向かうでもなく、必死で沈没を免れるのみでした。
この原因は、中古車店の急所ともいえるともいえるある問題を、新車販売が握っているからなのです。
それは仕入れ問題です。中古車が発生するのは、主に新しく車を購入するときの下取りとして発生してきます。その為新車販売が30%ダウンするという事は、それはそのまま一定の割合で発生していた中古車の数が、同じく30%減ることを意味します。まして大きな災害などで需要が増えても、下取り車がほとんど無いとなると、深刻です。
これはいきなり全体の数が30%減ることを意味するものではありませんが、結局は、やがて全体が30%減となっていきます。
例えば、ここに200台並べているA店と、100台並べているB店があります。このお店から商品が30%減ると、A店は140台となり、B店は70台となります。しかし現実は、A店はがんばって180台揃えると、B店は30台しか並べられなくなり、もはや廃業の道を選ばざるをえなくなります。
これが今起こっていることで、今に始まったことではなく、バブル崩壊以降じわじわと起こっていることなのです。
いち早くそれに気付いた者たちは、準備を整えて撤退していきましたが、それに気が付かなかったり気が付いていても色んな事情で動けなかった人たちが、縮小しながらも細々と残っています。
あれ程飛ぶ鳥を落とす勢いだったお店が、いまこんなになってしまった、なんていうのはまだ良いほうで、もはや地方へ行ったらしいと噂の中に消えていったお店もあり、これからどのようになるのか、予想できている人間などどこにもいないというのが、現状です。
3.仕入れ問題の解決策として登場してきた、一括査定システム
この中古車店の仕入れは、お店を支えるかなめといえます。ある意味仕入れが優秀であれば、営業がアルバイトでも、やっていけるのです。その仕入れという仕事が、今風前の灯火となっている大本がこの一括査定システムの中に隠れています。
インターネット環境が整うと共に、数少ない中古車を仕入れるために、広告の掲載を多くの中古車店から請け負ってきた広告媒体から、このシステムが生まれてきたことは自然の流れといえます。
仕入れに行き詰っていた中古車店にとってこのシステムは、暗闇の中の明かりの様に見えたことでしょうし、広告媒体にとっても、年々縮小していく中古車市場にともない、減少していく広告収入を食い止めるための秘策のように思えたかもしれません。
それが2010年頃までに今あなたがよく耳にされる一括査定の会社が、出そろってくる理由です。
ここで賢明なあなたは、ふと疑問に思ったことでしょう。そうです、もともとは新車販売の減少により、中古車が発生しなくなったのが原因です。これについては何も解決していないのです。これからも解決は望めないでしょう。
今起きていることは、少ない食料を取り合って本能むき出しで争っている状態なのです。
今後どうなっていくのか、誰も未来を描ける人はいないように思いますが、わたしなりに予想すれば、関東圏・関西圏・九州圏の三つに分けられ、それぞれの圏内で天下を取ったものどうしで全国をシェアするようになるでしょう。
そうです今までの個々のお店同士の競争からこの一括システム同士の争いに移り、その中の中古車店は皆それぞれのグループに属するようになり、もはやそれを外れて生き残れることは難しくなるでしょう。
その中では、自分のお店を大きくしようとか、がんばって儲けようとかは無くなるでしょう。只々生き延びる戦いに消耗していくことになるでしょう。長く停滞の時代に入っていくと思われます。
中古車売却トラブル問題の本質
ここまで読んでいただき有難うございます。ここからがいよいよ本丸です。
覚えておられますか? 前に国民生活センターと全国の消費生活センターの中古車売却に関する相談件数が2010年度には前年比1.7倍の増加、さらに翌年2011年度にはその1.6倍超と急増していると述べたこと。
この理由が今まで書いていたことの中に入っているのです。
新車需要の減少による中古車不足、その対策として生まれた車一括査定システム、それまで経験したこともなくまた想像すらしていなかった、この二つが合体した事により発生したトラブルであると、結論づけられるのです。
いままでは一般のユーザーと、いわばプロである仕入れ担当の人間が接触することはほとんどありませんでした。
買い取りにしても、店頭にお客様が持ち込まれ、直接応対するのは常日頃お客様対応に慣れている営業担当が行っていました。まして御自宅まで伺うという事はほとんどありませんでした。
そこにこの状況を一変させたのが、この一括査定システムです、いままで全く接触のなかった者同士がここにあいまみえることになったのです。これで何も起こらないはずがありません。
そもそも買取り担当は、基本的に同じ業者同士の中で仕事をしています。その行動原理もプロ同士の間にのみ通用するということを、彼らは考えたこともないのです。相手は商取引の素人です。そのことに思いが至らないのです。人は基本的に傲慢です。
お互い共通の言語がなければ、何かあった時どうしても第3者に頼るしかなく、その結果が、国民生活センターと全国の消費生活センターの相談件数の増加に繋がるのです。
解決策はもはや、住み分けしかないのか
このトラブルを解決するには、二通りの方法があります。例えれば、外科的方法と、内科的方法の2つです。
それではまず外科的方法から参ります。
この方法のキーとなるのが、この住み分けるという言葉です。どうせ合わないふたりなら、お互い住み分けて会わないようにしよう、という事です。でもそのままでは困ってしまいますので、間を取り持つ専門家を置いときます。
つまり私の頭にあったのは、ユーザー専門のオークション会場を作ったらどうだろうという事でした。ユーザーはオークション主催者とのみ打ち合わせを行ない、他のお店の人とは全く接点を持ちません、主催者はユーザーの車をオークションにかけ、その結果をユーザーに知らせ、それで良いとなれば、お金のやり取りもそのオークション主催者が責任をもって行い、のちに名義変更されれば、その確認書類の送付まで行うシステムができたら。
もちろん現実にそのオークション会場を作るのではなく、バーチャル空間でそのようなシステムを作ることができたなら、面白いだけでなく、ユーザーも楽しめる空間が作れるのではないかと、その空間の中では様々なコンテンツか展開でき、その収益もユーザーのメリットに還元できるし、そのような物ができたら、楽しいだろうな~と、夢を見てみました。
ところが丸々ではありませんが、この住み分けをコンセプトにした会社がもうすでにありました。私がしばらく車業界から離れていた間、同じような危機を感じられた方がおられるのでしょう。
でもそこからなにがしかのCM料を頂いているわけではありませんので、敢えて紹介の記事は、差し控えていただきます。なにかお話があれば、そのときにCM全力でさせて頂きますよ、○ーカー○ッ○さん。あ!
最後は内科的方法です。
まず、最初にこの方法は、一番実現性がありませんが、私はいつも自分自身で、柔軟におこなうようにしています、認識の変革です。一番簡単なのですが、頑なに自分の考えに閉じこもられる方には向かないというより、出来ません。
まずこのトラブルの原因は、お互いの認識の違いによる事で起きるとことが多々あるのではと思われます。まず貴方のもとへ訪れた仕入れ担当者は、この今の状態を商取引と認識しています。
貴方はどう認識されていますか、多分自分は消費者だと認識していませんか、そのため今の状態を、サービスを受けている自分と思っていませんか、その認識だと危ないです。自分はサービスを受ける権利を持った人間だと認識してしまうと、優柔不断の状態を許されると勘違いする原因になります。
そこへ、いつものように商取引だと認識している人間がやってきますと、どうしてもすれ違いが起こります。契約書を作成して、お金を受け取とってもなお、まだキャンセルしてもいいのだと思ったりすると、仕入れ担当者からすると、一体契約書とは何の意味があるのか、と反発をしてしまいます。
仕入れ担当者も、商取引には違いないが、取引相手はあくまで、いつもの様なプロではなく、初めて車を売る素人の方だと認識する事が肝心です。相手に合わせて商談を進めるのが、本当のプロです。でも自分はプロだと思い込んでいる人間ほど、膠着した考えを持っています。自分は正しいと。それは相手がプロだった場合いのみだという事に思い至らないのです。
そういう人に会うと、いつも気が滅入りますが、なるべく近寄らないようにしています。面倒ですから。でもどうしても関わらなければいけないときには、相手がどのように認識しているのかを意識して、うまくこちらからペースを作っていくようにしていきます。でもこれは、仕事だからです。プライベートでは絶対しません。そうか、だから友達いないのか~。
車買取業界の構造的問題点のまとめ
いかがでしたか?車買取に関する悩みが絶えない理由が少しは見えてきたのではないでしょうか?
これらは何も車業界だけに限った話ではないと思いますが、プロや素人といった住む世界が違う人々の様々な思惑が絡み合う世界ですから、少々のいざこざが起きるのはある意味仕方ないともいえます。
でもそれで諦めるのではなく、車買取査定はあくまで大人同士の交渉として捉えることが大切なのではないかと思います。
後々のトラブルを避けるために口頭だけではなく契約書を作る。全ての買取店の査定結果が出るまで決断しない。むやみに判子を押さない。など、最低限のことを守れば、ネット一括査定やオークション代行はとても便利なサービスです。
正しい知識を持って適切な手順を踏みましょう。あなたの車を少しでも高く買ってもらうために。