オークション代行で車を売るのは賢い方法なのか?手数料などから考えてみる

車を売却される場合、中古車専門店や、中古車買取り店に持ち込んだりする事が多いと思いますが、今回は少し変わった方法の一つ、オークション代行を利用して車を売る場合について、得なのか損かを、いつものように独断と偏見を恐れず、私の考えを入れ込みながらお答えしていきます。

結論から申し上げますと、あまりお勧めできません。今回この記事を書く前に、二つ三つこの手のオークション代行の広告記事を拝見させて頂きましたが、嘘は書いていないことは判ります。

しかし気になる事が少々あります。そのあたりを書き進めていきたいのですが、その前にオークションの現場から説明させて頂きます。

手に汗握るオークション操作室の内部

オークションにやってくる人間は2種類に分けられます。

まず、「お目当ての中古車を探してやってきた買いを目的とした人」。もう1種類は、「オークションに出品を目的として、つまり売りにやってきた人」の2種類です。もちろん両方の目的の方も多くおられるでしょうが、とにかく目的はこの2種類です。

取引現場では、いつも緊張状態です。それでも、買う時はそれほど緊張しなくても、自分で決めた範囲まで様子を見ながらボタンを押し続けていれば、なんとかなります。もちろんボタンを離すタイミングをミスって高い買い物をする危険もありますが、それより一番は、自分の出品した車両がオークションに出てきてセリが始まった時です。

 

自分の出品した車両がセリにかけられるとき、暗幕に塞がれたオークション操作室に入ることになります。中は暗くモニターと操作盤のみが照らされていて、操作している人の横につきます。

そこで幾らで売りたいのか、操作している人に伝えます。事前に出品表に書いておくので、現場に立ち会わなくても進んでいくのですが、そこはやはり気になるのです。例え成約できなくても、セリに参加してくれた人数や、幾らまで値段を付けてくれたのかを知ることは、次回の再出品の判断材料になります。

 

例えば100万円以上で売りたい場合、幾らからスタートした方が良いのか、車によっても変わります。車だけでなく車の状態によっても変化します。仮に80万円からスタートしても、幾らになれば売り切るというサインを出すか考えておく必要があります。あまり遅いとセリに参加している人間も高いと判断してボタンから手を放すかもしれません。

90万円を少し過ぎたあたりで、ここで一番高い人に売りますという売り切りサインを指示出来るのも、横についているからで、その為にも人任せには出来ないのです。モニターを通して買い手と心理戦を戦わしているのです。

それもわずか数秒間で終わります。暗幕から出てくる人の表情はさまざまで、遠くを見つめたまま無表情で出てくる人や、満面の笑みの人、時に悪態をつきながら出てくる人もいて、かなりの緊張状態であったのが見て取れます。これがオークション売買の現場です。

 

ただ最近は大量の車を処理してことから、これすら廃止して単純に機械任せにしていく傾向にあります。それだと完全に運任せになり、まるで単純な事務処理の様な態を示しています。どんどん人間らしさから離れていくようですが、これは避けられないことでしょう。

当事者として乗り気になれない

私は今まで人から依頼されて車をオークションで売ったことはありません。また売ろうと思ったこともありません。逆に依頼により買ったことはあります。直接依頼主とオークションに同行して、下見をしたうえで、セリ落としたことは何度かあります。

どうして売ることをしないのか、お解かりでしょうか。それは責任が持てないからです。

オークションの落札率は所によって違いますが、50%あればいい方でしょう、中には70%近いところもあるでしょうが、その多くは多走行車など部品取り用の車を、最初から売り切り対象として出品しているものを含めていますので、実際は50%を切っているところも多々あるはずです。

 

なぜ出品車の半分は落札されないのか。それはもちろん買い手と値段が合わないからなのですが、それでは、売り手側は欲を出して高値で設定しているのでしょうか。

もちろん高く売りたいのは当たり前ですが、お互いにプロです、自分が売りたいと思った値段が、落札される可能性がどこまであるのかはよく解っているはずです。それでも落札率50%ということは、結局、丁か半かの微妙なラインを設定しているわけで、それはそれでプロだなと感心するのですが、それが合理的かどうかはまた別の問題です。ちなみに私の出品した車の落札率は80%を超えました。

このように依頼された車が落札されるかどうかは、不透明です。確実に落札されるようにすればするほど、希望落札価格を下げる覚悟をしなければいけません。もちろん希望落札価格を下げたからと言って、最終落札価格が必ず下がるという事ではなく、競り合って高くなることもあります。

でもそれは結果です。どれだけ早く売り切りボタンを押す事が出来るのかは、状況にもよりますが、狙った価格以下で落札されるかもしれないという覚悟が必要です。その覚悟を、売却を依頼された車に持てるかどうかですが、私は持てません。

 

当然ユーザーは一番良い結果を頭に描いています。そうでなければわざわざこの様な手間のかかる依頼はされないでしょう。そのような依頼を受けた場合、いくらその時の状況により希望の値段に達成できないことがあると説明しても、現実そうなってしまったら、どれだけの人が納得できるのでしょうか。

それを避けるためには、オークション会場で希望金額まで引っ張るしかなく、そうなると後は運を天に任せるしかなくなります。それはどうやっても丁半博打の確率を超えることは出来ません、これは2回に1回は希望価格で落札されるという事ではなく、次も次も同じ確率です。

今回落札されなくて、次はとなった場合、また出品料が掛かることになります。それでだめなら、またですか。そんな怖い事、私にはできません。

このような代行業の問題点

このような問題を、代行業者はどう正当化されているのでしょうか、あらかじめ希望価格通りにいくとは限らない由を説明している、と納得しておられるのでしょうか。

でもそれは本当に免罪符になるのでしょうか、べつに法的にという訳ではありません。商業道徳としてその言い訳には賛同できないのです。博打の要素が強すぎるような気がするのです。

業者はそれが仕事ですから当然として、そこに一般の方を引っ張り込んで、あたかも必ず高く売れますというようなセールストークを入れ込むのは、どうしても納得できません。

 

キャッチフレーズに、「20万円も高く売れた」などというフレーズが出ていたところもありますが、私の経験上自分が付けた査定より20万円も高く落札されたのは思い出しても、2件しかありません。

1件は5年落ちのアコードで、エンジンが焼け付いて交換の必要がある物でした。私は、中古エンジンを探してきて積み替えるという事を想定して10万円の査定をしましたが、オークションで30万円近くで落札されたのには驚きでした。

もう1件は古いフェアレディZで、見た目かなりさわっているのが見て取れたので安く査定したのですが、夕方帰ってきた同僚がそれをみて、 これは儲かるよという言葉を信じてオークションに出品したところ、20万円を超える利益が出たことがあります。

 

どれも当時の私の未熟さが吉と出たものでした。エンジン積み替えにしても、修理工場由来の販売店にとっては朝飯前で、工賃を修理費用に組み込む必要がなく、その分高く買う事が出来ます。当時の私はそれを知らなかったのです。また改造車も、私は経験不足で、当時の私のネットワークにも改造車専門店はありませんでした。

つまり20万円も高く売れたというのは、最初に査定をした人間が、当時の私のように未熟なため、ちゃんとした査定が出来なかったためにそういうことが起こったと考えられるのです。このキャッチフレーズが本当の事と仮定しての話ですが。

 

このようなレアケースをつかみにしてユーザーを誘うのはどうでしょう、この株を買えば儲かりますよ、現にAさんは○○儲かってベンツを買われました、みなさんもどうですか。ただし株は下がることもあります。当店では手数料も良心的な設定をしております。

こんな宣伝文句、私には作れません。言ってることには嘘は無いのですが(???)、それ以上にこの営業形態がどうしても好きになれません。

私もきれい事だけで仕事をしてきた訳ではありませんが、目くそ鼻くそを嗤うといわれても、どうしても納得できないのです。もちろん反論もおありでしょう。出来たら私を納得させて頂きたいとも思っているのが、今の気持ちです。

誤解なきように最後にもう一度

このような形態の一番の問題点は、オークション代行を利用されるユーザーにとって確実性がないというところです。

実際、落札されたとしても、出品料・手数料を差し引いて手元に残ったお金を数えた時、果たして得なのか。みなさんオークションに過剰な期待をされていませんか。先の章でオークション落札率が50%と書きましたが、希望価格に届かなかったために流れた車の出品者は、どの位の落札値を希望していたかというと、多く見積もっても、せいぜい最終落札値からプラス5万円程度のものです。

その程度の差しかありません。美術品のオークションではありません。思わぬ高値が付くなんて奇跡は起こりません。そのことから考えて、オークション代行を利用した時と、普通に何件か査定した時の差が、ご期待されるほどはないと言えます。

 

例えば、オークション相場100万円の車の場合、一般の買取値としては90万円~105万円の間になります。その差の原因は、そのお店が自社の展示場置きたいかどうかで決まります。つまり、オークション用として買うのか、ユーザー用として買うかによって、差が産まれます。

オークション用であればオークション相場より下げなくてはなりませんし、展示用であれば、オークション相場で買っても、落札料も陸送代もその他必要な経費も掛かりませんので、思い切った値を付ける事が出来ます。

 

一方オークションに出した場合、ほとんど相場通りに落札されます。つまり100万円ということです。そこから出品料・代行手数料を引くといくらになりますか、そうすると手元にいくら残りますか、計算してみてください。どうですか、微妙でしょう。

それとも105万円を狙いますか。もし流れてしまうと次も出品料かかりますよ。万が一うまくいったとして、一体いくらお得になりますか、105万円 ― 出品料(約1万円)― 代行手数料 = あなたの手取り どうですかお得になりましたか。

 

労力のわりに、得になるかどうか微妙だと思われませんか。こんなこと業者は判っているはずです。普通オークションに出せばある程度リスクというものがあります。でもこの形態には、業者のリスクは見当たりません。つまり安全地帯にいるわけです、リスクはユーザーが負うようになっている。そのことに納得できないものがあります。

ユーカーパックさんとの違い

同じ形態のように見えるユーカーパックさんとの違いについての質問が読者からありましたので、ここに付け加えます。

ユーカーパックさんの広告ページに、車買取オークションと銘打っていますが、ユーカーパックさんはオークション代行しているわけではありません。これは「ユーカーパックさんと契約しているお店」が、出品された車に入札をするシステムです。

公共工事の入札のようなものです。オークション代行ではなく、いわば買取り店への持ち込み代行と言うべきものです。

 

各買取り店との交渉の窓口になってくれているシステムです。これにより、交渉の苦手な方や、合わないお店との取引もスムーズに進み、お金に関するトラブルの心配もしなくてすみます。

しかも手数料無料という事ですから、お忙しい方などにはもってこいのシステムです。どうしても査定値が不安なら、ご自分でも少し動いてみるのも良いかもしれませんね。

【特集】ユーカーパックまとめ!メリットデメリットやキャンセル、トラブルなど

【特集】はじめての車買取査定~書類準備や電話交渉、段取りの詳細AtoZ




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