査定士はあなたの車のここをチェックしている!とんでもない事例も交えて紹介

中古車店を維持するために一番大事なことは何だ、と言われれば、もちろんそれぞれの仕事のどれをとっても外すことは出来ないもので、一つでも欠けると、たちまちお店の維持に支障をきたします。

でも中古車店の仕事は中古車の販売という事を考慮すると、一番大事なのは商品である中古車の品質に関する仕事と言えるでしょう。それも入り口の仕入れという仕事は特に重要だと言えます。

そういうことで今回は車の査定士さんのお話です。どういうところをチェックしているのかというのがメインです。

査定士にとって車をチェックする時の重点項目

まず、査定する人間が一番気を付けなければならないのは何か、それらを重要な物から順番に書き出してみます。

  1. 目の前の車が、盗難車など不正な物ではないか。
  2. 修復歴の有無
  3. キズ・凹み・塗装跡の確認
  4. 走行状態、内装状態、装備品のチェック

以上重要な物の順に書き出しました。もちろんどれも外せないのは当たり前です。

①の盗難車についてはめったにありませんが、それでも無いとは言えないのです。仕入れを長くやった人間で、これら最悪のケースに遭遇した経験が一回も無い者はいないでしょう。私は3度経験しています。

一つは検査書の所有者と、持ち込まれた方の名前が違っていました。あとで盗難車と判明。もう二つは車体番号の不正です。車体番号をパテ埋めしてその上から新しい車体番号を彫り込んだもの、車体番号を切り取り、その後で別の車体番号を溶接したもの。見落とした時点でアウト、後の祭りと成りかねない事件です。

この事件を聞いても何のことかピンとこない人のために、説明を附則しておきます。まずあなたが、事故等や災害などで廃車にするしかなくなった車を買います。もちろんそんな車ですから、タダ同然です。次にその車と全く同じ車を盗んできます。そしてスクラップの車の車体番号を、先の方法などで新しい車に付け替えます。そうするとスクラップの車が立派な車として蘇り、盗難車はこの世から消えることになります。わかりましたか。

この怖さがあるため、知らない人との個人売買には懐疑的なのです。ましてネットでとなると、知り合いなら全力で止めます。

 

次は②の修復歴の有無についてです。これは軽微ものを含めるとよく見られます。この見分け方を書いているサイトをたくさん見かけますが、生兵法は怪我のもとです。

もし私に見分け方を伝授してやってくれと、依頼されたなら生徒たちに一週間の研修期間を設けます。そうして毎日の室内授業と最低10台以上の現車を使っての実技授業を行い、間に確認の小テストを挟みつつ、最後ペーパーテスト80点実技90点以上の者を合格とします。それでもまだ不安はありますが、後はそれぞれ現場で経験を積んでいただくしかないという結論に至るでしょう。それだけ、日々車に接していない者にとっては難しいという事です。

 

③のキズ・凹み・塗装跡に関しては、キズ・凹み・塗装跡の確認だけなので、前の2つに比べると少し楽です。ただ、確認しながら修理費用の概算を同時進行で行っています。

④の走行状態、内装状態、装備品のチェックでトータルとしての車の程度を判断していきます。もちろんシートの破れ、破損があれば、修理・部品交換の概算も同時進行です。

実際の査定の流れ

先に、査定時における重点項目を重要度順に述べましたが、実際の査定はこの順におこなわれるわけではありません。そこで今度は査定の順を追いながら、その都度どういうことを考えているかという事をメインに書いていきます。

狙いとしては、流れを追いながら全体像を掴むことで、より査定というものを理解して頂く事です。

でもここに一つ問題があります。じつは中古車販売店の営業や査定の担当者は個人競技の様なもので、それぞれ人によって個性が出ます。そしてそれを他の人と共有しません。同じ仕入れなのに、けっこうライバル意識もあり自分のやり方を教えないだけでなく、教えられるのも嫌がります。勝手に見て勉強しろという事です。

 

それでこれから書くことは、わたしのやり方です。そう違っているとは思いませんが、自分は違うという方もおられるかもしれません。それではまいります。

私の査定の吟味シーン

査定は入って来られた瞬間から始まります。入ってきた時の車の様子、静かに入ってこられるか、勢いよく入って来て止め方も乱暴か、降りてこられたときの様子、服装、どこか違和感はないか。情報は無意識に入ってきます。

次に応対しながら、検査書を拝見させていただきます。年式と車体番号を、現車を見て確認します。もちろん会話のなかにも、違和感にアンテナをはり続けています。この後、本人様の前でフロアシートをはがしたり、ダッシュボードの裏をのぞき込むことは、躊躇しますので、一旦事務所の中で待っていただきます。その前に貴重品の確認をしてもらう事を忘れずに、万が一のトラブルを避けるためです。

これから本格的なチェックが入ります。先までの情報を頭に入れながら見ていきます。先ほど少し荒い運転をされていたが、その影響が出ていないか。少し体重のある方の様なので、シートのへたりは大丈夫か。胸に煙草を入れておられたが、室内は汚れていないか。前章の②③④を徹底して行います。もちろんそれは、すべてチェック表に記入されます。

その後、事務所に入るまでには、いくらで買うのが妥当かもう決まっています。私は駆け引きをあまりしません。基本直球です。程度が良い車の場合は、素直に良さを認めます。良さを解ってあげるというのも、仕事の一つだと思っています。そうしないと、ただ値段だけ告げて高い安いと言ってみても、ほんとにちゃんと見てくれたのか不安になります。ちゃんと見て、値段を出したとわかってもらうためです。そのため査定した車についての感想に、質問を挟みながらけっこう時間をとります。

 

先に希望金額を聞く人も多いようですが、わたしは自分の手の内を先に見せます。これには理由があります。値段のみに関心のあるユーザーなら、腹の探り合いは時間の無駄ですし、そうでないユーザーに対しても誠実さに欠けるような気がするのです。

それにそんなことしても、買取りの確率が上がるとは、とても思えないのです。自分が自信をもって出した値段なら、相手の腹の内を探るような真似をせず、こういう理由でこの金額を出しましたと、素直に言う方が良いのではないかと思うのですが、どうでしょう。実はどちらが正解なのかは、未だに分からないのです。わたしは甘いのかもしれませんが、最後までこのスタイルは変える事が出来ませんでした。

仕入れの仕事とは

この章は蛇足です。ちょっとこのテーマから外れますが仕入れの仕事について、少しだけスペースを頂きます。

査定士さんと仕入れの仕事は違います。査定する事は仕入れの仕事の一部です。営業だって査定ぐらいします。事務所でじっとお客を待つような仕事は、仕入れの仕事のメインではありません。この専門店で働いている人達もよく知っていますが、少し勘違いをしているようです。

このケースの方々は若い人が多く、はじめて専門的な仕事である査定を行っているせいでしょう、専門家になった気がしているようです。私からしたら「君たちその仕事を何十年やっても独り立ちできないよ」と言いたいところですが、勿論そんな余計な事は言いません。

 

仕入れの仕事は、外で色んな取引先を開拓する事です。そうやって自分だけの取引先を作り、そのネットワークを増やす事で自分のスタイルを作っていくのです。国産車に疎いお店もあります。そういうときは自分が相場を指南して、下取り車などの商談をやり易くサポートします。そうしてその下取り車を頂くわけです。

その結果、少し高くてもちゃんと買取りします。そうやって信頼関係を築いていくのです。他の取引先も同じです。

そうやって信頼関係を築くと、もう会社間の取引でなく個人の取引に近くなります。万一仕入れ担当が会社をやめると、もうその仕入れ担当が維持していた取引は無くなるのです。時間をかけてそういう関係を築くのが仕入れの仕事で、自分で独立する時も強い味方になってくれます。

 

そういう目で仕入れを見ていくと、一日買取り所で査定を待っているのは、マニュアルに使われているマリオネットではないかと思えるのです。糸が切れた時、あと何が残るのか疑問です。

以上でこのテーマを閉めますが、いかがですか、仕入れの様子を俯瞰して見ることが出来たでしょうか、少しでも査定というものの敷居が低くなれば成功なのですが。

一部の方に少し不快な思いをさせてしまったかもしれません、引退親父の独り言と思って頂きます様、お願い致します。

【特集】はじめての車買取査定~書類準備や電話交渉、段取りの詳細AtoZ




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