新型86マイナーチェンジ!若者のクルマ離れの理由とトヨタ幹部のズレた認識とは?

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「車 いらない…」

今の若い人の声です。若者の車離れという言葉がすっかり定着した感がある日本の残念なモーターワールドですが、なんと大御所トヨタ幹部の市場を俯瞰する視点、そして発言が全く的を得ていないことが分かりました。それが・・・

「販売台数を維持するために、売れる車を優先してきた。そうすると、どうしてもスポーツカーが消えていく。その結果、若い人の車離れにつながったと反省している」

やれやれ、トヨタさん、分かってないですねぇ、クルマ好きの気持ちを…。


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トヨタは必要。キーワードは「スマート」

2016年8月1日にトヨタの86が登場から5年を数え、初めてマイナーチェンジが行われます。そして文頭のトヨタ幹部の言葉はこのタイミングで発せられたものです。

これがトヨタ全体の意見なのかどうかはさておき、トヨタの幹部を務めるまでの人の認識がこれほどズレているとは思いませんでした。

 

ここで日本の車業界の立ち位置を改めて振り返ってみましょう。

トヨタを含む日本の自動車工業会の歴史

トヨタが販売重視なのは昔からです。なにせ半国有企業のようなものですからね。戦後から日本自動車工業会は国から厚遇され外資から守られ大切に育てられてきました。なぜなら車という工業製品が日本を根底から支える世界と渡り合える唯一の武器だったからです。

日本にとって、車産業だけは自由市場主義に任せるわけにはいきませんでした。関税などの外公交渉を含め国家戦略の主軸として固められてきた日本の自動車工業会にとって、車の外観やワクワク感などはいわば二次的なもので本質ではありませんでした。

 

世界と戦うためにはまず売れる商品を作る必要がある。そのために商品の競争力を上げる必要がある。そうして当時の日本は安い人件費と精密加工技術を要にしてコストパフォーマンスの大変優れた自動車を作り上げることに成功しました。

トップ企業だったトヨタにとって、売れることが命題であり売れなければ国家が傾くという危惧がありました。だからこそクルマ好きが振り向きもしない一般大衆向けの車作りに走ってきたという歴史があります。

だからこそ言えることがあります。それは「トヨタのスタイルは今後も必要であり、それはクルマ離れとは直接の関係はない」ということです。

世の車好きの心理

まず面白クルマ好きはアンチです。人と同じでは気が済まない人種達です。そこに主役がいたとして、その脇役をこよなく愛する人がクルマ好きに多いのです。

仮にトヨタがスポーツカーを量産したとしても、アンチ層は納得しません。なぜならトヨタだからです。それ以上でもそれ以下でもないのです。安定感あるNo.1メーカーの作るものはいつの時代も玄人思考ではないと見なされます。

バブル崩壊後の苦しい期間もずっとスポーツカーを作り続けてきたマツダはどうでしょう?もしマツダが日本一の車メーカーであれば、あれほどロードスターも売れなかったでしょう。つまり、トヨタがいるからこそのマツダという訳です。
ついでにいえばメルセデス有りきのBMWなんです。メルセデスが無くなったらBMWは今ほどの輝きを維持することはできないでしょう。

86とハチロクは違う

「スポーツカーは、カルチャーです」

これは2012年新型86が登場した時のキャッチコピーです。世界的に見てもスポーツカーがカルチャーであることは間違いないのですが、欧米と日本では育っているモータースポーツ文化に差がありすぎるのでカラーが違います。

まずヨーロッパやアメリカのスポーツカーには主張があります。そしてブレない信念と歴史があります。それが日本のスポーツカーはどうでしょう?ロードスターなどの芯を通している一部のスポーツカーを除き、殆どがトレンドスポーツカーといえるものばかりです。

その時だけ大きく売れれば良い、人の意見でコロコロ方向性が変わる、初代のスピリットをいとも簡単に覆す。場合によっては製造ライン自体を潰してしまう…。これが日本のスポーツカーの姿です。これでは歴史や文化など育つわけがありません。

 

2012年に新しく誕生したトヨタ86を購入した人達もトヨタが切望していた若者ではなく、かつて若者だったクルマ好き達が懐かしさで買ったというユーザー層でした。

では当時AE86を購入したユーザー達は何が魅力でハチロクを支持したのでしょうか?それはカローラという一般大衆車でありながら強力なエンジン、足回りを持ち、当時の高級車を追い抜ける程の動力性能を確保しながらも安かったという「ギャップ」にありました。

「この車、見てくれよりも凄いんだぜ…」そんな指揮官用量産型ザクでガンダムを倒す時の快感を味わうような雑草魂炸裂カーだったのがハチロクという車です。

新型86のズレた視点

私は新型86が出た時は一体トヨタのマーケティング部はどこに目をつけているのだろう?と首を傾げたものです。ぜんぜんユーザーの気持ちを分かっていない…昔AE86が売れた理由も理解できてなかったのですね。みんなサラリーマンサラリーマンしてると目が曇るのでしょうか?

あのようなキラキラして力強そうで完成度も高く見るからに速そうなハチロクなど誰も望んでいないのです。新型86ではギャップも何もない。ひねくれ根性を満たす危うさもない。チープさを醸し出すスパイシーな香りもない。新型86はかつてのハチロクが持っていた炭火焼き鳥に似た味付けから、良く出来たコース料理のような味付けになってしまったスポーツカーでした。これではより一層若者達から遠ざかってしまいます。

 

さらにハチロクのマイナーチェンジでは価格が20万前後上昇します。そしてこれに対しトヨタサイドは「中身のアップグレードを考えれば、価格は上がっていない」というのです・・・。スマートじゃありませんね、ジャパネットタカタの詰め込み販売じゃないんだから。

まぁでもトヨタはスポーツカー文化を育てるような欧米メーカーに感じる遊び心などありませんから仕方ありませんね。なにせ国が見てますからね。

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バランスの良いものが好まれるご時世

今の日本の若者は「スマートさ」をライフスタイルに求め実行しています。

スマートは日本でよく使われるところの「カッコいい」という意味ではなく「賢い」という本来の意味です。昭和の「消費」の価値観ではなく「地産地消」「アナログ」「シェア」などがキーワードになってきています。

もう自分だけが目立つとかはスマートでないし、大きく逸脱しているものもイヤ。でもちょっとセンスの良いものが欲しいわけです。

 

日本の国力、競争力が落ち、発展途上国から先進国へと切り替わった今、物価も上がり人件費も上がる中でかつての消費行動を国民(内需)に期待することができなくなり、特に企業内で東南アジアの安い人件費と比較され賃金を抑えられる若者たちにとってひたすら不利な時代が今後も続きます。

そんな時代背景の中、若者たちの消費欲を煽って無理に高いスポーツカーを買わせようとする自動車メーカーの視点がそもそも間違っています。今の若者にとってのスポーツカーはなにもスピード重視、車体剛性重視のスペック至上主義カーだけではありません。

仮に今、若者が無理して身の丈に合わない高級スポーツカーを買い、「見てくれ俺の車!280馬力でロールバーまで入ってるんだぜ!それにブレンボキャリパーにネオバのナンチャラカンチャラ・・・」などと言ったら友人達はその場では褒めてくれるでしょうけど内心では間違いなくオタク扱いされ見下されてしまうことでしょう。

 

確かに周りの価値観に左右されず自分の心と直感に従う人間は尊敬を集めます。しかしそうした本物の価値観を持つ人は自分自身にとっての価値を見極める深層心理に潜む絶対的な物事の見方をマスターしているので、安全のためのロールバー装着ならまだしも「承認欲求を満たすためだけの大馬力やブランド物の装備」が必要だとは思わないわけです。

さらに「オタク」と「自分軸を持っている人」というのは違う人種です。オタクが多くの人から嫌われる理由は「好きなことだけを追求する姿勢」に対してではなく、過剰な感情表現や過激な会話の内容、それに他人に不快感を与える身だしなみを含めたマナー欠如の面に対してでしょう。

だから現代の若者は見てくれ重視のアピールカーを買おうとする人・自分の車を声高に自慢する人を哀れに思い「薄っぺらだな」と蔑んだ目で見てしまうのです。そしてそういった空気感を掴むことが上手なのが今の若者たちです。そんなCOOLな今の若者に対し「スペック重視見てくれ重視のスポーツカー」を作って売ろうなんて無謀すぎるでしょう。

 

 

もはや時代は物質ではありません。モノに価値など無いのです。こんなご時世だからこそ車のもつ物質面やスペックではない喜びの部分、感性的なものを味わえる要素が必要なのです。私が日本の自動車メーカーに実現していただきたいクルマ作り文化創造への願いがここにあります。

人によっては「マニュアルの軽トラが日本のスーパーセブンである」という人もいるぐらいです。私はいっそのことスズキのインドで展開している無駄な豪華装備など無い安くて小さな車達を逆輸入したらいいと思っています。そのクルマ達はとてもシンプルですから若者たちに車のハンドルを握り自由に空間を移動する車本来の喜びを再び呼び起こしてくれるものと思います。

車はもっともっとシンプルでいいと思います。それこそ塩を振った焼き鳥でいいです。それが現代の若者たちの声だと私は思っています。※タタ自動車のような危険な車は問題外ですが。

 

…もしかしたらトヨタさんはそうした声を十分把握していて、わざと確信からズレた発言をして86のマイナーチェンジの成功を目論んでいるのかも知れませんね。そうだとしたらやっぱり販売上手なトヨタさんです。

経過を見ていきましょう。

走り屋車ランキング!ああ懐かしきドリフト全盛期のスター達

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